3月末に国土交通省から各不動産関連団体長に向けて、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対して柔軟な措置を実施、検討してもらうよう依頼。
そして、4月には、下記のよう税務上の取扱いや、不動産オーナーが活用できそうな措置をアナウンスしたうえで、再度、柔軟な措置を実施、検討してもらうよう要請。
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賃料を減額や減免した場合の課税関係【新型コロナウイルス影響による税務上の取扱いが明確化】
国税庁ホームページの「新型コロナウイルスの感染拡大防止対応FAQ」に、賃貸物件のオーナーが賃料の減額をおこなった場合の課税上の取扱いが示されました。 結論としては、新型コロ ...
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先日、特別家賃支援給付金についてまとめました。
苦しいはずの民間には早々にお願いしておいて、政府としては今月末に支援策の検討をするという、この感覚って普通なんでしょうか。
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特別家賃支援給付金の概要【中小企業MAX300万円、個人事業主MAX150万円】
昨日、自民党が第2次補正予算案に向けた、党の提言案をまとめたとのこと。 かなり遅い気がしますが、やっと事業者への固定費(家賃)が支援されそうですね。 たしか、 ...
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さて、今回も目新しいものではありませんが、不動産オーナーが活用できそうな消費税の措置。
本来、従前の賃貸借契約で決まっていた賃料の変更をすると、消費税率について、旧税率である8%とはならず、新税率である10%となります。
ただし、正当な理由がある場合の賃料変更であれば、10%とはならず、8%になりますといった経過措置が適用されます。
正当な理由の範囲に、新型コロナウイルスの影響を含めて差し支えないというもの。
賃料の減額をしても消費税の経過措置が適用される
令和元年10月より消費税が10%となりましたが、その半年前の平成31年3月31日以前に締結された賃貸借契約については、10月以降も新税率である10%とはならず、旧税率である8%が適用されます。
経過措置が適用されるということです。ちなみに、この経過措置って、適用できるではなく、適用しなければなりません。
この旧税率8%の経過措置ってずっと適用されるわけではありません。
賃料変更はもちろんのこと、賃貸借契約の更新時には新たな契約がスタートすると考えますので、これらのタイミングで消費税率は10%となります。
また、賃貸借契約の更新について、自動継続条項がある場合も、同様に考えます。
では、新型コロナウイルスの影響を受ける事業者の求めに応じて賃料を減額すれば、あらたな貸付契約がスタートしたと考えられ、経過措置が適用されないのではないかと考えられますが、経過措置は引き続き適用されるようです。
新型コロナウイルスの影響を受ける事業者の要請で賃料を減額した場合は、引き続き経過措置が適用される
さきほど、賃料変更はもちろんのこと、賃貸借契約の更新により、新たな契約がスタートした場合は経過措置が適用されなくなるといいました。
しかし、以前から、正当な理由により賃料が減額された場合は、引き続き経過措置が適用されることとなっていました。
(前略)対価を変更した後の資産の貸付けについて経過措置を適用することができないのであるが、その対価の変更が、例えば、賃貸人が修繕義務を履行しないことにより行われたものであるなど正当な理由に基づくものである場合には、その対価の変更につき対価の変更があった場合の経過措置の不適用を適用しないものとする。
平成31年10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いについて(法令解釈通達)19(正当な理由による対価の増減)太字加筆訂正
不動産オーナーが新型コロナウイルスの影響を受ける事業者からの要請に応じて、賃料を減額した場合、この正当な理由の範囲に新型コロナウイルスの影響を含めると明らかにしました。
政府の要請を踏まえて新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために当該賃料を減額することが明らかな場合は、「正当な理由に基づくもの」として取り扱って差し支えありませんので、引き続き、資産の貸付けに係る消費税率等の経過措置が適用されます。
国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ 問 12.《賃料の減額を行った場合の消費税率等の経過措置について》〔5月 15 日追加〕
なので、経過措置を受けていたテナントさんからの賃料を、新型コロナウイルスの影響で減額したからとって、経過措置が適用されないということはありません。
いままでどおり、8%で申告してください。
まとめ
少し話がズレますが、消費税が10%になってから、消費税計算がほんとうに大変になってきました。
申告チェック(わたしは消費税については未だに手計算をし、それを申告ソフトと突き合わせしています)が、結構しんどいんですよね。
しんどくてもやめませんが。
さらに、令和5年10月からはインボイス制度が導入されます。
経理処理や我々の手間が増えることもそうですけど、なにより小規模事業者の税負担が結構増えますよね。
今の状況を考えると、制度の導入は難しいのではないかと思うぐらいの税負担です。
ただ、まだまだ先の話なので、導入される可能性が高いんですが、本格的に導入されると、これからの小規模事業者はほんとうに厳しい時代がやってきそうです。