バックオフィス業務とは、ざっくりいうと会社に直接利益をもたらさない間接業務。
直接利益をもたらさないといっても、会社を土台からささえる重要な役割を担っています。
具体的なバックオフィス業務とは、総務・労務・経理といった仕事に大きく分けられます。
それぞれの仕事はこのようなイメージ。
総務・労務・経理のしごと
- 総務・・・会社の営業活動をサポート。備品管理や社内の環境整備、社外とのおつきあい、法務なんかもここに含まれる。
- 労務・・・会社で働くヒトをサポート。社員の入退社手続きや社会保険、給与、就業規則の整備を行う。
- 経理・・・会社のカネをサポート。営業活動で発生した取引やお金の流れなどを帳簿づけし、決算・申告を行う。
ある程度の規模を除いて、多くの中小企業では、総務・労務・経理のそれぞれのポジションに人員を割くことはできません。
ひとり、ふたりですべてのバックオフィス業務をこなしている場合がほとんどではないでしょうか。
中小企業では、「経理職に応募したつもりが、総務も労務も全部やらされている」なんてことは当たり前なのかもしれません。
さて、どんな職種でも、新年度がはじまって就職、転職したものの、「思った仕事をやらせてもらえなかった」、「専門外の仕事を任されてイヤになった」、「こんな仕事やりたくない」などなど悩みを抱える時期ではないでしょうか。
今回はバックオフィス業務中心ですが、こんなはずじゃなかったと悩んでいる方にむけて、総務・労務・経理とは、なにをするのか、その全体像を知っていただくと勉強法や対処法も理解できて、すこしは「やってみようかな」、「続けてみようかな」となるかもしれません。
退職願を出すまえに、参考程度に読み進めていただければと思います。
中小企業のバックオフィス業務を経験すればオールラウンダーになれる!?
オールラウンダー(万能)ってネガティブな印象があるのかもしれません。
こんな印象をお持ちなのかもしれません。
ですが、わたしはバックオフィス業務に関しては、オールラウンダーのほうが良いと考えています。
わたしは単純に「何でも知っているオールラウンダーですね」といわれるとうれしいですし。
総務・労務・経理という仕事は、別々のことをしているようですが、じつは結構つながりがあります。
たとえば、会社が移転したときや役員(代表者)の変更があったときの行政手続きについては、法務局や税務署、府税・市税事務所、年金事務所などに申請や届出が必要になってきます。
これをすべて総務に任せていると、経理に所属しながら行政手続きについては、なにもわからないという状態になってしまいます。
知っていて任せるのと、知らずに任せるのとでは全然ちがいます。
こういった周辺の知識があるだけで、仕事を効率的にすすめられるはずです。
行政手続きはほんの一例。
相互に影響するバックオフィス業務は全体像を理解できていたほうが良いと思います。
バックオフィス業務に関しては、すべてを経験できる中小企業のほうが業務内容も理解しやすいでしょう。
では、具体的に総務・労務・経理はなにをするのかを確認していきたいと思います。
総務のしごと
会社の営業活動をサポートしますので、サポート内容としては社内・社外問いません。
具体的に社内に関する仕事と社外にかんする仕事を分けてみてみます。
社内に関するしごと
- コピー用紙・筆記具など事務用品の購入、維持管理
- パソコンや携帯電話、会社備品の維持管理
- 郵便文書のやり取り、社内回覧フォームの作成や伝達・仕組みづくり
- 社員の健康管理
- 社員の個人情報やマイナンバーの管理
- リスク管理
- 福利厚生(新年会・忘年会・社員旅行など)の企画と運営
社外に関するしごと
- 電話・郵便・メールによる顧客対応
- 取引先への贈り物や慶弔対応
- 取引先からの贈り物に対する礼状の作成や管理
- 会社のホームページやパンフレットなどの作成
- 会社の登記管理
- 新規取引先の信用調査
- 各種契約書類の作成やサポート
たいへんですよね・・・
わたしも勤務していたときは、いくつかやらされていたことがあります。
とくに新年会や忘年会、社員旅行の企画と運営なんかめちゃくちゃイヤでした。(ほとんどやっていませんでしたが)
こうやって列挙してみると、総務ってほんとうにたいへんだなと。
いつも通りの「ありがとうございます」では足りないぐらいのサポートをしてもらっているかもしれません。
労務のしごと
労務は会社で働くヒトをサポートしますので、ヒトの採用から入退社の手続き、安心して働けるような就業規則の整備がメイン業務となります。
また、毎月・定期的に支給される給与や賞与計算もここに含まれます。
経理とも密接に関係しており、給与や賞与計算で天引きした源泉所得税や住民税、社会保険料の納付手続きも発生してきますし、年末調整なんかもかかわってくるので、毎月なにかと忙しい仕事です。
そして、なにより個人の給与、税金、社会保険に関することなので、めちゃくちゃ気を使う仕事だと思います。
すこし話が脱線してしまいますが、勤務していたとき、3月、4月は社会保険の入社手続きと給与計算が大変でした。
当たり前ですが、住所氏名なんか絶対間違えられません。
社会保険の手続きはもちろんのこと、給与計算ソフトへの登録も手間がかかるのに、翌月の5月か6月ぐらいで、ほとんどの方が退職してしまうので、またすぐに退職手続きをしに年金事務所へ行くというもどかしさ。
いまでこそ、労務の仕事を覚えられたので良い経験になったと感じますが、あのときはほんとうにしんどかったなと笑
経理のしごと
経理は会社のお金の管理や帳簿づけをする仕事。
じつは経理って、お金、税金を取り扱うといっても、ルールを覚えてしまえば、労務ほど気を使わないと思っています。
請求や税金の支払については、請求書や納付書通りに支払えば済みますし、大変そうなイメージの決算は、簡単にいえば帳簿と実際の残高を合わせる作業に過ぎません。
ですので、個人的には、ここに専任の人員を割くのはもったいないと感じます。
中小企業であればなおさら。
いまは片手間でも経理ができるような仕組みづくりができますし、そのほうが効率的です。
「こうできないのかな?」といった考えは、経理効率化の第一歩になる大事な考え方です。
まとめ
細かな業務内容や効率化については、次回以降のブログに譲るとして、バックオフィス業務の全体を簡単に紹介しました。
中小企業では総務・労務・経理の部署なんかなく、バックオフィス業務のすべてを担っているというのが一般的。
数年後にはオールラウンダーになるというのも、なんとなく理解いただけたのではないかと思います。