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減価償却のしくみ【キャッシュフローに与える影響は!?】

2020年4月2日

 

げんかしょうきゃく・・・って言葉よく聞きませんか?

漢字では、減価償却って書きます。

我々の業界だけでよく使うことばではなく、一般的なことなので、ご存知の方も多いかと思いますが、資産として利用した分の価値を減らして、経費にするという意味です。

減価償却の意味はなんとなく分かっていても、こんな疑問はありませんか?

 

  1. 減価償却のしくみがよくわかりませんねぇ
  2. 減価償却とキャッシュフローの関係もよくわかりませんねぇ

 

このあたりについてまとめたいと思います。

読み進めていただくと減価償却の基本的なしくみと、減価償却が資金繰りやキャッシュフローに与える影響が理解できるかと思います。

 

減価償却のしくみ

資本金1,000万円で飲食事業をスタートした会社があるとしましょう。

その会社のスタート時点の資産と資本の状態は、このようなかんじになります。

 

資産と資本

現金・預金 1,000 / 資本金 1,000

 

そして、事業を本格的に始めるために、生まれながらの地元で長く続けていきたいことから、不動産の購入を視野に探していたところ、500万円(建物200万円・土地300万円)で理想とする物件を取得することができました。

仕訳で示すと

 

不動産購入

建物 200 / 現金・預金 200

土地 300 / 現金・預金 300

 

そして資産と資本の状態はこのようになるはずですね。

 

現金・預金という500万円の資産と引き換えに、土地・建物という資産を購入したので、現金・預金が500万円減り、土地・建物がそれぞれ300万円と200万円増えることになります。

ちなみに、資本金は変わらないのか?と思われるかもしれませんが、資本金というのは、あくまで資金の調達方法として記載しているので、ここは会社のお金を使ったからといって減少はしません。

 

ここからが本題です。

会社がお金を使うと、資産になるのか、経費になるのかの2通りしかありません。

資産になるのか経費になるのかの線引きは、買ったモノと金額で分けられます。

買ったモノが、会社の収益を上げる目的で、長期間にわたって保有する固定資産であれば、資産に分類され、経費にはなりません。(税法ではこのような目的で取得した固定資産であっても、一定金額の範囲内であれば、経費で処理してもOKという規定がありますが、それはまた別の機会にまとめます)

では、会社の収益を上げる目的で、長期間にわたって保有する固定資産を買ったら、資産に分類されて経費にできないのかというとそうではありません。ここで減価償却が登場します。

固定資産の内容に応じて耐用年数というものが決められていて、その期間中、減価償却により、各事業年度の費用に配分することになります。

 

例えば、先ほど購入した建物の耐用年数が20年だったとすると、毎年10万円ずつ減価償却費として費用に配分します。

 

減価償却

減価償却費 10 / 建物 10

 

また、長期間にわたって保有する固定資産のすべてが減価償却の対象になるわけではありません。

減価償却の対象となるのは、事業として使う、時の経過によって価値が減少していくものと考えられているので、土地については、相場の変動はあっても、どれだけ使っても価値が減少しない、変わらないことから、減価償却資産からは除かれます。

 

そして、創業一年目の利益状況が計算できました。(簡単に説明したいので税金や社会保険料は考慮していません)

一年目はなにが起こるのかわからなかったので、役員報酬も取らず、ヒトも雇わず、ひたすらホルモンを焼き続けて営業し、60万円の利益をあげることができました。

 

減価償却以外の取引を示すとこんなかんじです。

 

売上と原価

現金・預金 100 / 売上 100

売上原価 30 / 現金・預金 30

 

そして、すべて反映された後の、資産・負債・資本の状態はこんなかんじ。

 

この会社が生みだした60万円の利益は、資本の一部として会社に蓄積されることになります。

何度もいいますが、資本の部は、会社がどのようにお金を調達してきたか、その方法を記載しています。
会社の総資産1,060万円の内訳は、1,000万円は株主からの出資、60万円は会社が生みだした利益という意味になります。

逆にみると、1,060万円は何に運用されているのかというと、570万円は現金・預金として持っていて、490万円は固定資産の設備投資に充てているという意味になるんです。

 

さて、ここで、一つおかしなことに気づきませんか?

先ほど会社が生みだした利益は60万円だったはずで、利益剰余金も60万円になっているのに、現金・預金は60万円の増加ではなく、70万円増えています。

どういうことなのか・・・

 

減価償却とキャッシュフローの関係

先ほど会社が生みだした利益は60万円だったにもかかわらず、手元の資金は10万円多い70万円が増加しています。

じつは、減価償却というのは、お金の支出が伴わない経費なんです。

もう一度、減価償却費の仕訳を示すと、現金・預金は動いていませんよね?

 

減価償却

減価償却費 10 / 建物 10

 

この会社の場合、土地・建物の購入時に500万円というお金が出ていったので、もうこれ以上お金は出ていきません。

経費としては計上されるのに、お金は手元に残ることになるので、金融機関の融資審査では、簡易的な返済能力の診断として、簡易キャッシュフローという考えが用いられます。
それは、「理論上、事業年度で生みだした資金はすべて返済に充てられる」こういった理屈からなんですね。

 

返済能力の簡易診断

当期純利益 + 減価償却費 = 事業年度で生みだした資金

 

じゃあ、不動産を借入で購入した場合はどうなるのか…

では、すべて借入金(10年返済・金利2%)で購入した場合は、節税になったり、なにか変わるんでしょうか?

 

不動産購入

建物 200 / 借入金 200

土地 300 / 借入金 300

 

借入金返済

借入金 50 / 現金・預金 50

支払利息 10 / 現金・預金 10

 

利益計算は、借入金の利息が追加されるだけで、借入金で購入したからといって経費にできる減価償却費が減るわけではありません。

 

そして、資産・負債・資本の状態はこのようなかんじになります。

資本に加えて、借入金である負債も、お金の調達方法を記載しているので、会社の総資産1,500万円の調達方法が右側の負債・資本に、運用方法が左側にそれぞれ示されることになります。

この場合、借入金で不動産を購入しているので、利息を負担することで、手元に資金は置いておけることになります。

ただし、不動産をキャッシュで購入した場合に比べると、実際にお金が出ていく利息の負担分、現金・預金の増加額は当然に減ります。

 

まとめ

今回は基本的な減価償却のしくみについてまとめました。

減価償却の意味は知っていても、利益計算、資産・負債・資本、キャッシュに与える影響まではなかなかイメージすることはないのではないでしょうか。

たまに、減価償却資産の購入方法で、お金が出ていないので経費にできないとか、お金が出た分だけ経費にできると思い込んでいる方もいらっしゃいますが、基本的に減価償却費の計上には影響しません。(一部、リースであったり、車の残価設定による購入は影響することもあります)

 

減価償却は、その資産の耐用年数に応じて費用配分していくので、費用化するのに時間がかかります。
節税の目線は後日まとめますが、なるべく減価償却資産に計上する額を少なくしたり、耐用年数を短くしたり、認められている税法を利用したりと色々な方法が考えられます。

それはまたの機会にまとめることにします。

 

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