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資本性ローン【金融機関からの借入金を資本金へ!?】

2019年10月31日

資本性ローンってご存知でしょうか。

これ、文面のまま理解してもらってOKなんです。
簡単にいうと、金融機関からの借入金を一定期間、資本金として活用できるということ。

 

会計上、運転資金などで受けた融資は、借入金としては貸借対照表上、負債に区分されます。この資本性ローンも会計上は同じように取り扱われます。

しかし、大きく異なるのは、負債でありながら、資本とみなす借入金とするよう金融庁が明確化していることです。

 

一見、あまり意味がない事のように思えますが、負債を資本とみなしてくれる効果は非常に大きいことです。

その効果などについて解説していきます。

 

金融機関は、債務超過会社には積極融資できない

債務超過という言葉の意味は皆さんご存知だと思います。

資産よりも負債が多い状態のことですね。

以前の記事にまとめていますが、金融機関はこの債務超過会社には積極的な融資はおこないません。

単純に回収リスクが高くなり、引当金を計上しなければならなくなるからです。

 

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しかし、これでは一時的な資金不足に陥っている中小企業がバタバタと倒産してしまいます。

その中には不幸にも災害に見舞われ、一時的に債務超過となっている企業や、創業時に画期的で独自性に溢れたアイデアを持つが、資金力がない企業は簡単にまとまった融資を受けられません。

 

資本性ローンの役割

冒頭でも少し説明しましたが、この資本性ローンは、負債でありながら、資本とみなしてくれます。

これはどういう事を意味するのかというと、資本性ローンを利用することにより、債務超過が解消されるということです。

債務超過が解消されるということは、財務体質が改善されるということですので、条件次第でこれとは別の融資を受けられる道も開かれるということです。

イメージでみるとこんな感じです。

 

 

資本性ローンの特徴

今回は、日本政策公庫で取り扱いをしている、資本性ローンの特徴を確認していきます。なお、正式名称は、「挑戦支援資本強化特例制度」といいます。

 

資本性ローンの特徴

返済方法が期限一括返済

利息は毎月払いでも、業績に応じて適用される

借入金は自己資本とみなしてくれる

 

返済方法が期限一括返済

返済期限は、5年1ヵ月以上15年以内となっており、毎月の元本返済はないので、借入というより、本当の意味で安定的でまとまった資金として利用できるのではないでしょうか。

なお、返済期限前の返済は原則的にできないようになっています。

 

利息は毎月払いでも、業績に応じて適用される

利率は融資後の直近決算の内容に応じて、3区分設定されています。

1年毎の業績に応じて利率が設定されているので、資金繰りを考える上では利用しやすい一方、業績が好調になると金利負担が多くなるという面もあります。

 

 

借入金は自己資本とみなしてくれる

資本とみなす借入金とは具体的にどのように扱われるのか。

金融機関からは上記のとおり、資本に準じた取り扱いがされるため、財務体質が改善されることになります。

資本とみられるということは、「金融機関がうちの株主になるの?」ということを心配される方がいらっしゃいますが、そのようなことはありません。

あくまで資本とみなす、資本性資金ということですから株式ではありません。ですので、株主の持株割合に影響を与えることはありません。

 

まとめ

非常に使い勝手の良さそうな資本性ローンについてみてきましたが、利用できる方は限られています。

例えば、今回紹介した日本政策公庫の商品では、新規開業者でも、「技術・ノウハウ等に新規性がみられる方」、「事業に新規性及び成長性がみられる方」で一定要件を満たす必要があるなどの条件はあります。

また、資本性ローンの申し込みには事業計画書の作成が必要になるので、気になった方はご相談ください。

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