税金(法人税など)を払わずに資金調達は出来ません。
また、税金を払わずに起業(企業)が成功(成長)することはありません。
創業間もない企業や多くの中小企業について言えることかなと思っています。
ただ、法人も色々な目的で設立されること、それぞれの成長ステージがあることは理解していますので、すべての企業にあてはまるものではありません。
職業柄、多くの中小企業経営者の方とお仕事をさせていただきますが、税金の考え方は本当に人それぞれです。
考え方なので、私は自分の考え方を押し付けたりはしません。
ただし、お客様が成長したいと考えている場合は、このような考え方をお伝えしていますので、結局、押し付けているのかもしれません。
今回はなぜ税金を払わないと資金調達が出来ないのか、そして起業が成功しないのか。このバランスを解説していきたいと思います。
税金(法人税)の計算方法
まず、税金(法人税)の計算方法を理解してください。
簡略的に解説をしますので、事業税などの地方税は考慮しません。
法人税は企業のすべての収入から経費を差し引いた差額の利益に課税されます。
例えば下記のような損益計算書の赤マーカー部分の税引前当期純利益が、これにあたります。
税引前当期純利益のすぐ下に法人税等があります。
これは税引前当期純利益に課税された法人税(地方税を含む)を意味します。
税引前当期純利益が大きければ大きいほど、税金(法人税)も大きくなります。節税の場合はここを最小化します。
最小化の方法は、経費を増やすか、売上を減らす(合法の範囲で)しかありません。
例えば、税引前当期純利益を最小化して赤字となった場合は、下記のようになります。
この場合、税引前当期純利益は赤字ですので、課税される法人税はありません(地方税の均等割のみ課税されます。)
黒字の場合と比較すると税額が全然違うことがわかります。
借入金の返済原資の計算方法
話は変わり、借入金の返済原資はどのように計算するのか。
簡易的に借入金の返済原資は、税金を払った後の利益とお金の支出を伴わない経費である減価償却費の合計額をいいます。
また、その合計額が企業の自由にできる資金といえます。
同じように上記の損益計算書を例にすると、青マーカー部分の合計額が借入金の返済原資となります。
この企業の場合、一年間に約8,180千円を返済する能力があるといえます。
一方、赤字企業の場合の借入金の返済原資はどうか。
この場合、赤字がまだ少ないので、一年間に約1,520千円を返済する能力がありますが、企業の本業である業績を示す営業利益、経常利益がマイナスというのは良い材料ではありません。
これが恒常的に続く状態であれば金融機関からの資金調達も難しくなります。
理想は『利益』を生み続けること
税金の計算方法、借入金の返済原資の計算方法ともに『利益』が計算ベースになることがわかります。
利益がなければ税金も返済資力もないということです。
上述しましたが、借入金の返済原資は企業が自由にできるお金です。
言い方を変えると、資金繰りに余裕があり、借入金が無ければ、借入金の返済原資にはならず、設備や新たな事業に投資できる資金となります。
一方、利益が出ていない、または節税にこだわり過ぎる企業の経営状態はこのようになります。
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1無理(無駄)にお金を使って経費をつくる
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2税金は少なくなったが、節税でお金を使い、資金繰りに不安を感じる
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3いよいよ資金繰りが厳しくなってきたので金融機関へ駆け込む
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4利益が出ていないので、融資が難しいといわれる
「そんな経営者おるか?」と思うかもしれませんが、不思議と多くいらっしゃいます。
節税にこだわり過ぎるあまり、知らず知らずのうちにお金を使い、企業の成長を放棄し、持てるはずの選択肢も手放していることになります。
このような経営状態にならないために、選択肢をより多く持てるように、『利益』を生み続けましょう。
『利益』が出なければ、企業の存続意義もありません。
まとめ
これから「起業して稼ぎたい」、「企業を成長させたい」と考える方は、節税を選択して利益を圧縮するべきではありません。
税金は誰もが少なくしたいはずです。私もそうです。
今回は解説していませんが、お金が出ていかない節税や各種税額控除など、利益を大きくしても税金を少なくする方法もありますので、そのあたりは税理士に相談しましょう。
税金は色々な方法で最小化を図っても、利益は最小化するべきではありません。
税金は必要経費と割り切って、利益を生み続けるべきだと考えます。
それが一番企業が成長してお金が残る経営となります。