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数字に強い経営者がもっている3つの目線

2019年12月18日

よく、経営者は数字に強くなくてはならない、税理士さんは数字に強いから~とよく言われますが、その「数字に強い」とはどういった意味なのか。

おそらく、税理士に向けての「数字に強い」は、「計算が速い」とか「計算が得意」、「計算が正確(好き)」なんでしょうね?の意味で使われているように感じます。

ただ、わたしは、算数、数学が大嫌いでしたが。

 

では、経営者に向けての「数字に強い」とは、どういった意味で使われているのでしょうか。

少なくとも「計算が速い」とか「計算が得意」の類ではないように思います。

例えば、経営者の計算が遅くても、電卓を使えれば問題ありませんし、経理、決算業務に関しても、従業員を雇用したり、税理士などに任せれば、なにも問題なく会社経営ができるはずです。
ただし、従業員なり、税理士に任せた数字の報告は必ず経営者に向かいますので、経営者は、直接的に数字を扱わなくとも、数字(情報)は集まってきます。

その意味で、経営者に向けての「数字に強い」というのは、財務諸表から数字を読み解く力、数字の意味や、それが与える影響が理解できるということを意味しているのではないでしょうか。

 

税理士に向けては、算数や数学のような、直接的な数字の扱いに長けている意味合いで使われていますが、経営者に向けては、国語のような、数字の理解力が求められています。

色々な経営者の方とお付き合いしてきた、経験上、この数字に強い経営者がもっておられる3つの目線があります。

数字に強い経営者がもっている3つの目線

  1. 経営者として財務諸表を読み取る目線
  2. 税務署からみた財務諸表を読み取る目線
  3. 金融機関からみた財務諸表を読み取る目線

 

数字に強い経営者がもっている3つの目線

経営者に求められるのは、数字を読み解く力です。

これは、すべて自社の経営のためです。

経営面だけではなく、税務や財務の面でも、どうなるかを知っておかなければいけないでしょう。

 

経営者として財務諸表を読み取る目線

基本的な財務諸表の読み方を理解していることを前提として、経営者のほとんどの方は、経営者として財務諸表を読み取る目線は、備えているように思います。

逆にいうと、ここだけの目線しか備えていない方というのがほとんどのような気もします。(後述しますが、一つの経営判断として人に任せている場合、それはそれで良いと思っています。)

経験上、経営者の方が興味を示すのは、どれだけ儲かったか、損したかという損益部分にしか目が向きません。プラスαとして前期比較や5年推移での売上、経費の増減から、来期の方針を考える方が多いように思います。

損益目線での計画になると、どうしても来期どうしようという単年度の計画になりがちです。
そこを、もう少し視野を広げて、資産、負債などB/S(貸借対照表)の数字を読み解く力を養うことで、企業価値向上の計画に意識が向き、5年、10年で経営計画を考えることができるのではないでしょうか。

 

税務署からみた財務諸表を読み取る目線

会社に限らず、事業をおこなっていると定期的に必ず税務調査がおこなわれますので、ここの目線を養うことも必要です。

多くの場合、税理士が関与しているので、このあたりはサポートしてもらえますが、多くの関与先を抱える税理士は頭を切り替えているつもりでも、つい他の関与先の状況と混同してしまったり、いい加減な担当者に当たると、そもそも税務署からみた財務諸表の意味が分からなかったり、面倒くさいと判断して適当な財務諸表を作ったりすることもあります。

なので、経営者の方が税務署からみた財務諸表を読み取る目線も重要です。

ただ、この目線は関与している税理士に積極的に確認したり、何度かの税務調査を経験して養われる目線かと思っています。

会社を税務リスクから守る意味でも、経営者に求められる目線ではないでしょうか。

 

金融機関からみた財務諸表を読み取る目線

この金融機関からみた財務諸表を読み取る目線も資金調達を考える上では重要でしょう。

経営者目線では「会社の利益、企業価値の向上と会社が存続するにはどうすれば良いか?」という目線でした。また、税務署目線では、「税務リスクから会社を守るためにはどうすれば良いか?」、金融機関目線では、「できるだけ多くの資金調達をするためにはどうすれば良いか?」という感じでしょう。

金融機関は、儲かっているかということより、シンプルに返してもらえるかということに重点を置いています。また、貸した後、どのように使われているかということにも重点を置いていますので、その目線を養う、理解することが求められます。

これも他の目線と同様に経験することで養える目線だと思っています。
そもそも豊富な資金力があって、金融機関からの資金調達は必要ないという方には関係ありません。しかし、ほとんどの経営者の方は金融機関からの資金調達を必要としていることが多いと思います。そのためには実際に金融機関とお付き合いをして身につけていく目線だと思っています。

 

3つの目線を養う時間

3つの目線を養うには、どうしても経験が必要です。経験をするとそれぞれの目線での財務諸表の読み取りに「深み」がでてくるはずです。

実際に、この3つの目線を備えている経営者の方とお話していると、色々な見方をされるので、視野が広く、考え方も柔軟です。
経営、税務、財務と3つのバランスがとれた経営判断を下すことができているように思います。

経験を得るためにはどうしても時間が必要になってきます。

「そんな時間かけてられるかっ!」という経営者の方は、経営目線はご自身で訓練するとして、税務、財務については、適切な人材を採用することや、外部に委託することも一つではないでしょうか。

その際、「実際の経験値」の有無を確認、重視してください。
具体的には、経理担当者の採用であれば、担当者としての税務調査の経験談を聞いてみてはいかがでしょうか。その場合、どうしても成功談を話したがるかと思いますが、成功やうまくいったことはその人の成果ではなく、元々その会社でのやり方が良かったことが多いです。

大事なのは、何か指摘を受けたときのその人の見解や、失敗から学んだことなどが重要でしょう。

時間を買うという意味でも、色々な人の考えを取り入れる意味でも、人に任せてみるという経営判断も良いのではないでしょうか。

 

まとめ

個人的な考えですが、数字に強い経営者への第一歩は、自分で経理、帳簿をつけてみることだと思っています。
わたしのお客様で、ある数字に強い経営者の方は、会計入力を、いまでもご自身でされています。意味が分からないままの入力では身にならないと考えて、わざわざ簿記の資格まで取得しての徹底ぶりです。

その姿勢が知らず知らずに3つの目線が備わった、数字に強い経営者になったのでしょう。

もしかすると、何事も前向きな積極姿勢が一番重要なことなのかもしれません。

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