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離婚したときの財産分与に税金はかかるの?【財産を渡す側はご注意を!】

2020年7月30日

 

自粛期間中、家族との時間が増えることで、何かと関係がギスギスしてきた結果、離婚に至るケースが増えているようです。

今回はそういった方々へ向けた記事ということではありませんが・・・

こんな方に向けた記事です

  • 離婚したときにもらった財産に税金はかかるのかな?
  • 離婚したときに財産を渡す側には税金はかからないでしょ?
  • 税金面で良い財産分与の方法はないかな

夫婦が離婚したとき、夫婦の財産を清算する意味で、財産を渡すことを財産分与といいます。

基本的に、離婚したときに受取る財産には贈与税という税金がかかることはありません。

逆に財産を渡す側は、渡す財産の内容によっては、所得税がかかる場合があります。

また、所得税がかかる財産を渡す場合でも、税金がかからないようにする方法はあるので、今回はそのあたりをお話しようと思います。

 

離婚したときの財産分与に税金はかかるの?

まずは、離婚により財産分与を受けた方の課税関係についてお話していきます。

そもそも、財産分与って、どちらか一方の財産を贈与するということではありません。

結婚してから離婚するまでのあいだ、夫婦で協力して築き上げた財産の清算や離婚後の生活保障のために、財産分与請求権に基づいて財産の給付を受けるので、基本的に贈与税なんかかかりません。

基本的にっていうのは、下記のような場合を除きますよってことです。

贈与税がかかるケース

  • 財産分与を受けた金額が多過ぎる場合
  • 贈与税や相続税を免れるために離婚を装った場合

 

財産分与を受けた金額が多過ぎる場合

具体的な金額基準があるわけではありません。

ただし、婚姻前のどちらか一方の固有の財産まで給付を受けていたり、財産分与の割合(一般的には半分ずつ)を著しく超えている場合には、贈与税が課税されるケースがあります。

なお、その場合は、多過ぎると判断された部分にだけ贈与税がかかります。

ちなみに贈与税は下記のように計算します。

贈与税

(受取った財産の合計額-110万円)×税率-控除額

税率や控除額については、こちら(国税庁ホームページ)

 

贈与税や相続税を免れるために離婚を装った場合

偽装離婚をして財産分与をすると、財産を半分にできますよね。

そうなるとどんなことが起こるのか。

贈与税が課税されることなく家族に財産が半分移転できることになるので、相続税を大幅に圧縮することができます。

あたりまえですが、これは認めませんということです。(やっている資産家の方、多いような気がしますが・・・)

ちなみに偽装離婚がバレると、財産分与を受けた全部に贈与税がかかります。

 

離婚によって財産を渡す側は税金がかかることがある

さて、続いて離婚によって財産を渡す側のお話です。

最初にいっておくと、渡す財産が「お金」であれば税金はかかりません。

問題なのは、土地や建物といった不動産だったり、株などのケースです。

この場合、譲渡所得税という税金がかかる場合があります。

 

財産分与が不動産だったり株だった場合、譲渡所得税にご注意!

さきほど、財産分与は夫婦で協力して築き上げた財産の清算や離婚後の生活保障のために給付するものといいました。

財産を受取る側には課税されないことはすでに確認したとおりです。

じゃあ、財産を渡す側はもらうどころか渡しているので、税金とは無縁と考えるのが普通ですよね。

でも、違うんです。

財産分与で給付される財産が、不動産や株だった場合、財産を渡す側に税金がかかってきます。

理由は、これらの財産は買ったときと財産分与をするときで時価が異なるためです。

所得税基本通達ではこのようになっています。

民法第768条《財産分与》(同法第749条及び第771条において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与として資産の移転があった場合には、その分与をした者は、その分与をした時においてその時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。(昭50直資3-11、直所3-19追加、平18課資3-6、課個2-11、課審6-5改正)

所得税基本通達33-1の4 財産分与による資産の移転より

財産分与による資産の移転は、そのときの時価で譲渡したと考えられます。

要するに、財産分与をしたということよりも、時価の値上がり益に着目して税金をかけますよってイメージです。

ちなみに、税率については、下記のようなかんじです。

譲渡所得税の税率

  • 所有期間が5年以下の場合
    所得税30%+住民税9%=39% ※
  • 所有期間が5年超の場合
    所得税15%+住民税5%=20% ※※復興税は別途かかります

ただ平成の時代は都心部を除いて地価が下がり続けていることが多いので、こういった課税を受けるケースは少ないのかもしれませんが、念のため課税を回避できる方法を確認しておきます。

 

不動産などを財産分与するときは、税金面ではこうした方が良い

あくまで税金面だけのお話です。

財産分与の対象が不動産で、値上がり益が気になる方は参考にしてみてください。

婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、2,110万円まで居住用不動産を非課税で贈与できる

いろいろな考えがありますが、この制度は離婚するからこそ意味があるのかもしれません。

婚姻期間20年以上の夫婦間で行なわれた居住用不動産や、居住用不動産を取得するための金銭の贈与については、2,000万円の配偶者控除と、110万円の基礎控除を合わせて2,110万円まで、無税で贈与できるということです。

なので、離婚前にこの制度を利用すれば良いということです。

この制度を利用するときの注意点は下記のとおり。

この制度利用の注意点

  • 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行なわれること
  • 配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与を受けた方が現実に住んでいて、その後も引き続き住む見込みであること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与税の申告をしていること

そもそも値上がり益が3,000万円以下は譲渡所得税もかからない

ほとんどの方はここで安心されるかもしれませんね。

マイホームを売ったときの特例ですね。

それって、たしか売り手と買い手が特別な関係だったら使えないのでは?

って声が聞こえてきそうですが、そうなんです。使えません。

夫婦や親子、内縁関係、特殊な関係の法人などへの譲渡の場合は使えないんです。

では、夫婦間であれば離婚成立後に財産分与をした場合は使えるのではないですか?

そうなんです。

このマイホームを売ったときの3,000万円控除特例を使うためのポイントは、離婚成立後に不動産を財産分与するということ。

あと、確定申告も必要なのでお忘れなく。

 

まとめ

離婚で財産分与をしたときの課税関係についてお話してきました。

財産分与する財産がお金(適正額に限る)であれば、財産を受取る側に税金はかかりません。

渡す側にも税金はかかりません。

しかし、財産分与する財産が不動産や株となると、渡す側は譲渡所得税がかかるかもしれないということを覚えておいてください。

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