個人の税金

アルバイトの所得税はいくらかかる?【いくらまでならかからない?】

2020年7月28日

 

こんな方に向けた記事です

  • アルバイトなのに所得税が天引きされている理由が知りたい
  • 103万円におさえたのに住民税の納税通知書がとどいた
  • パート収入がいくらを超えるとどんな影響がでるの?
  • 天引きされた所得税を取り戻す方法はあるの?
  • 103万円とか130万円のちがいが知りたい

 

こんな疑問が解決できる記事です。

 

先に結論にふれておきます。

毎月給与明細書で天引きされている所得税は、あくまで概算です。

給与の金額によっては、天引きされなかったり、税額が変動したりします。

なので、概算で天引きされた所得税が多過ぎた場合は、年末調整や確定申告で取り戻せます。

また、誰もが一度は聞いたことがある壁については、100万円、103万円、130万円、150万円、201万円があり、それぞれの壁を超える毎に税金や社会保険料が課税されたり、ご主人の税金に影響を与えることになります。

 

アルバイトの所得税はいくらかかる?

疑問の解決の前に、どのぐらいなら所得税がかからないのか。

その金額と理由からお話しようと思います。

 

アルバイトの収入が「いくら」だったら所得税が課税されないかを考えると、2つの控除項目が重要になってきます。

ひとつは、給与所得控除。

そして、もうひとつは、基礎控除です。

この2つの控除額の合計と給与収入が同額であれば、課税所得はゼロとなるので、所得税はかかりません。

 

給与所得控除ってなに?

まずは、給与所得控除について。

給与所得控除って、給与所得者に認められた経費みたいなもんです。

実際にお金は払っていないのに控除することが認められた概算経費なんですね。

 

給与所得控除額は、下記のように給与の収入金額に応じて決められています。

国税庁ホームページより

年収120万円の場合

120万円×40%-10万円=38万円

結果、55万円に満たないため、給与所得控除額は55万円となる

給与所得控除は、ひとりあたり最低55万円が認められているということです。

基礎控除ってなに?

続いて、基礎控除です。

基礎控除は給与所得者に限らず、すべての人に認められた控除金額です。

これは、48万円の控除が認められています。

注意

ここでは影響がないと考えられるので詳しくは書きませんが、基礎控除について、令和2年以降、納税者本人の合計所得金額に応じて決められています。

103万円の壁の理屈

最低認められている給与所得控除は55万円でした。

基礎控除は48万円でした。

ふたつの控除額を合計すると、103万円となりますよね。

要するに、103万円の年収があったとしても、概算の経費である給与所得控除と、基礎控除で課税対象となる金額がゼロになります。

これが103万円の壁といわれ、所得税がかからないという理由です。

 

所得税に関するいろいろなギモン

所得税がかからない理由はご理解いただけたかと思います。

「でも、給与明細書では天引きされているよ」とか「103万円でも住民税は課税された」などのギモンにお答えしていこうと思います。

 

アルバイトなのに所得税が天引きされている理由

わたしはアルバイトをしており、年収は98万円でした。

ほとんどの月で所得税はゼロでしたが、たまに数百円天引きされています。

どういうことなんでしょうか?

おそらく「103万円の壁を越えていないのに、なぜ所得税がかかっているのか」が、質問の趣旨かと思います。

103万円の壁って、越えるのかどうかは年末にならないとわかりませんよね。

1月から11月までの時点では、その方の年収が103万円の壁を越えるのかどうかはわからないので、「念のため」として所得税を概算で天引きします。

念のため徴収される理由は、税務署側、納税者側双方にメリットがあると考えられています。

税務署側では取りっぱくれがなく、早く徴収ができる。

納税者側では年末に一年分まとめて課税されると、負担が大きいので少しずつ納税できる。

しんどいのは、源泉徴収事務を強いられる事業者側です笑

 

例えば、その月の給与が9万円だったとしましょう。

もしそれがずっと続けば・・・という目線で所得税は計算されるので、年収は108万円となります。

このように考えるので、108万円の年間税額の1/12を今月は徴収しておこうというかんじになるんです。

結果的に、103万円の壁の範囲内だった場合、課税所得はゼロとなるので、概算で天引きされた所得税は年末調整で還付されます。

 

103万円におさえたのに住民税の納税通知書がとどいた

103万円の壁は知っていたので、ギリギリその範囲で着地できました。

でも、翌年の6月に住民税が天引きされました。

どういうことなんでしょうか?

103万円の壁は、あくまで所得税のお話です。

住民税も考慮すると、100万円の壁とお考え下さい。

 

先ほど、基礎控除のお話をしました。

基礎控除額は48万円でしたよね。

でも、住民税の基礎控除額は43万円と、所得税にくらべて5万円減ってしまうんです。

あれ?

住民税の給与所得控除額は変わらないんですよね?

じゃあ、98万円の壁じゃないんですか?

たしかに、住民税でも給与所得控除額は変わりません。

自治体によって異なることもありますが、住民税は給与所得控除後の金額が45万円以下の方にはかかりません。

なので、最低の給与所得控除額55万円と課税されない所得金額45万円の合計額100万円の壁が出来上がるわけです。

住民税もかからないようにしたい方は、103万円の壁ではなく、100万円の壁とお考え下さい。

 

パート収入がいくらを超えるとどんな影響がでるの?/103万円とか130万円のちがいが知りたい

ここは一緒にお話した方が分かりやすいと思います。

冒頭で、100万円、103万円、130万円、150万円、201万円の壁があるといいました。

そして、100万円の壁と103万円の壁はすでに確認したとおりです。

プラスαの特徴を追加して、おさらいしておきます。

100万円の壁

  • 住民税はかからない
  • 所得税はかからない
  • 社会保険料はかからない
  • 扶養に入れるので、ご家族で配偶者控除や扶養控除が適用できる

103万円の壁

  • 住民税は課税される
  • 所得税はかからない
  • 社会保険料はかからない
  • 扶養に入れるので、ご家族で配偶者控除や扶養控除が適用できる

これまでに登場したふたつの壁は、住民税がかかるか否かのちがいだけです。

 

さて、130万円の壁からすこし次元が異なります。

まず、年収が103万円超、130万円以下の場合、扶養を外れることになります。(配偶者特別控除や勤労学生控除を受ける方は大丈夫です)

そして、130万円の壁を超えてしまうと、会社の社会保険に加入するか、ご自身で社会保険に加入しなければならないので、お金がでていくことを実感するでしょう。

要するに、ご家族の社会保険から外れてしまうということです。

 

次に、150万円の壁。

旦那さんの扶養に入っていた方が、この150万円の壁を越えてしまうと、旦那さんで受けていた控除額が段階的に減らされていきます。

要するに、旦那さん側の税負担が増えてしまうということです。

 

最後に、201万円の壁。

さきほど、150万円の壁のところで、「旦那さんの扶養に入っていた方が150万円の壁を越えてしまうと、旦那さんで受けていた控除額が段階的に減らされていきます。」といいました。

旦那さんの扶養に入っていた方が、201万円の壁を越えてしまうと、旦那さんで受けていた控除額はゼロになってしまうという壁です。

 

天引きされた所得税を取り戻す方法はあるの?

最後に、所得税を取り戻す方法について。

前提として、取り戻せるのは「念のため」の所得税が天引きされていて、結果的に払い過ぎていたという方だけです。

取り戻す方法は2つ。

年末調整と確定申告で税金を取り戻せます。

年末調整は会社側でやってくれるので、一定書類の提出をすれば対応してくれるでしょう。

確定申告については、毎年2月16日ごろから3月15日(還付申告については2月16日以前でも可能)までのあいだに国税庁ホームページや無料相談会でできます。

更正の請求をすれば5年さかのぼって税金を取り戻せる

少し話は変わりますが、ご自身で国民年金や国民健康保険料を払ったのに控除を受けるのを忘れていた、扶養の範囲内だったのに扶養控除を受けるのを忘れたという場合などは、5年さかのぼって税金を取り戻せます。

これは所得税だけではなく、住民税も返ってくるので、過去の申告ミスが発覚した場合は、払い過ぎた税金を取り戻しましょう。

 

まとめ

やはり大きな壁は130万円なのかなと。

この壁を守っている方は多いように思います。

やはり社会保険料の負担は大きい。

一方で、規模の大きな会社でアルバイトをしている方は、社会保険の加入が求められており、社会保険の加入対象者がどんどん拡大している傾向にあります。

そのうち、130万円の壁も動かされるかもしれませんね。

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