2020年6月12日に第2次補正予算が成立しました。
そのなかのひとつに、持続化給付金の支給対象者が拡大されるというものがあります。
フリーランスや個人事業主の方で業務を委託されてる事業形態でありながら給与所得や雑所得で申告していた方については、従前の持続化給付金の支給対象となりませんでした。
しかし、第2次補正予算では、2020年3月までに開業した方や給与所得や雑所得で申告していた方にも適用されることになりました。
それに合わせて、国税庁のホームページにも給与所得や雑所得で申告していた方が持続化給付金を受け取った場合の課税関係についてアップされていたので、簡単にまとめたいと思います。
あら、課税されるのねって思った方、残念ながら課税されます。
持続化給付金の課税関係については、こちらでまとめているので気になる方はどうぞ。
コチラからどうぞ
-
持続化給付金は非課税ではない!!【実質、課税されないだけ】
安倍首相が、緊急事態宣言延長に関する会見で、8月に5月8日に支給を開始するとした持続化給付金。 Twitterでは、早くも振り込みされたとの内容も見かけます。 さて、この事 ...
続きを見る
では、それぞれの場合における持続化給付金の課税ポイントについてまとめようと思います。
給与所得や雑所得で申告した方が受取る持続化給付金はどのように課税されるのか
従前の持続化給付金の場合、事業所得として申告している方が対象となっていたため、支給された持続化給付金も同様に、事業所得となっていました。
売上ではないけど、事業に関連する助成金などの雑収入として収益に計上するので、結果的に売上と同じ方法で課税されることになります。
なぜ事業所得となるのか、持続化給付金の性格を考えると理解できますよね。
持続化給付金は、事業継続のための支えとして支給される助成金なので、事業にひも付いていますよね。
感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金を給付します。
持続化給付金制度内容より
雑所得に関しても同じように考えるのですが、給与所得として申告していた方は少々異なります。
給与所得で申告していた方が持続化給付金を受取った場合
給与所得として申告していた方が受け取った持続化給付金は、一時所得になるんですね。
給与所得ではありません。
ちなみに、一時所得と、雑所得って線引きが分かりにくいので、少しだけ脱線します。
ちょっと長いので、気になる方だけお読みください。
気にならない方は、一時所得という事実だけ理解してもらえればOKなので読み飛ばしてください笑
一時所得と雑所得の違いってなんやねん
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
国税庁ホームページ No.1490 一時所得より
雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。
国税庁ホームページ No.1500 雑所得より
個人の収入って、営業して得た収入、働いて得た収入、家を売って得た収入、利子や配当、たまたま入ってきた収入、退職金など様々ですよね。
なので、それぞれの収入の税負担能力に応じて課税するため、所得を10の種類に分類しているんです。
そのうちの2つが、一時所得とか雑所得なんですが、この2つはいい方は悪いんですが、所得分類のごみ箱的に使われているところがあるので、違いが分かりにくいんです。
上記の所得定義にも書かれていますが、一時所得は、「営利を目的とする継続的行為」とか「労務や役務の対価」とか「資産の譲渡による対価」ではないことが特徴です。
一時所得か雑所得のどちらか迷った時は、このあたりをチェックしてみてください。
雑所得は、営利性だったり、対価性がありますが、一時所得にはありません。
一時所得の具体例
- 懸賞の賞金や品物、福引の当選金品など
- 競馬・競輪の払戻金(営利目的の継続行為の場合は、雑所得)
- 生命保険や損害保険の一時金や満期返戻金など
- 家屋の立退きに際して受取る立退料
- 労働基準法の規定を違反した者などから受取る付加金
雑所得の具体例
- 従業員や役員が業務に関連する取引先から受取るリベートなど
- ビットコインなどの仮想通貨の売却等による所得
- 民泊による所得
- 給与所得者が副業として衣服や家電をメルカリなどで売却することで得た所得
なぜ給与所得者が得る持続化給付金は一時所得なのか
なんとなく辻褄が合わないような気がしますよね。
国税庁の説明では、下記のようになっています。
① 事業所得等に区分されるもの
事業に関連して支給される助成金(例えば、事業者の収入が減少したことに対する補償や支払賃金などの必要経費に算入すべき支出の補てんを目的として支給するものなど)
※ 補償金の支給額を含めた 1 年間の収入から経費を差し引いた収支が赤字となる場合などには、税負担は生じません。また、支払賃金などの必要経費を補てんするものは、支出そのものが必要経費になります。② 一時所得に区分されるもの
例えば、事業に関連しない助成金で臨時的に一定の所得水準以下の方に対して一時に支給される助成金
※ 一時所得については、所得金額の計算上、50 万円の特別控除が適用されることから、他の一時所得とされる金額との合計額が 50 万円を超えない限り、課税対象になりません。③ 雑所得に区分されるもの
上記①・②に該当しない助成金国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ 問9.《個人に対して国や地方公共団体から助成金が支給された場合の取扱い》より
個人的な見解ですが、持続化給付金は受取る方に応じて意義が変わるもんなのかなと。
例えば、同じ持続化給付金について、給与所得者が得る持続化給付金は②になると思うんですが、①では「事業に関連して支給される助成金」、②では「事業に関連しない助成金」といっています。
雑所得で申告していた方が持続化給付金を受取った場合
雑所得で申告していた方が受け取った持続化給付金は、雑所得になるんですね。
給与所得として申告していた方と同じように一時所得にはならず、雑所得となりますので、お間違いのないように。
一時所得として雑所得の課税所得の違い
一時所得の場合、25万円が課税対象になってくると思います。(ほとんどの方が収入を得るための経費はゼロだと思うので)
25万円の計算例
100万円(持続化給付金)-0万円(収入を得るための経費)-50万円(特別控除額)×1/2=25万円(課税対象)
一方、雑所得だったら、50万円の特別控除額はありませんが、他の経費と相殺できます。
売上があまりたっていない状況であれば、経費が先行していると考えられるので、実質的に非課税という結果になるかもしれません。