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新型コロナウイルスの影響で検討された国税の措置【令和2年4月7日閣議決定】

2020年4月9日

 

これまで、ブログで新型コロナウイルスの影響を受けた方に用意されている国税の措置を色々まとめてきましたが、まとめている当の本人が、バラバラと小出しになっていることになんだか分かりにくさを感じていたところ、令和2年4月7日に閣議決定された、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)」について、財務省ホームページに資料がアップされたので、今回はそれをもとに、国税関係の措置を確認したいと思います。

なお、各論については、すでにまとめているものはリンクを貼っておくので、併せて読み進めていただければ幸いです。

 

今回の記事は、税金関係について、いま、どんな措置があるのか確認しておきたい方については、問題を解決できる内容となっています。

 

ただし、ご注意いただきたいのが、今回まとめる国税の措置は、まだ閣議決定された段階なので、法案として成立していません。
時間の問題だとは思いますが、適用には、国会での法案成立後となります。

 

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)

国税関係については、主に下記の7つ用意されているようです。

税制上の措置

  • 納税の猶予制度の特例(法人・個人)
  • 欠損金の繰戻しによる還付の特例(法人)
  • テレワーク等のための中小企業の設備投資税制(法人・個人)
  • 文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対する払戻請求権を放棄した観客等への寄付金控除の適用(個人)
  • 住宅ローン控除の適用要件の弾力化(個人)
  • 消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例(法人・個人)
  • 特別貸付に係る契約書の印紙税の非課税(法人・個人)

では、一つずつ、確認していきたいと思います。

 

納税の猶予制度の特例(法人・個人)

納税の猶予については、下記にてまとめています。詳細を確認したい方はどうぞ。

さらっと知りたい方は、わざわざ読まなくても良いです笑

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簡単にいうと、無担保で延滞税なしで、一年間納税を猶予してくれる制度で、印紙税を除いたすべての税目が対象になります。

また、国税だけではなく、社会保険料についても国税と同じように取り扱われるので、セットで利用できることになります。
利用したい方はお忘れなく両方申請してください。

 

社会保険料についてはコチラ

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欠損金の繰戻しによる還付の特例(法人)

これも、下記にてまとめていますが、制度の詳細を確認したい方はどうぞ。

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簡単にいうと、前期黒字、当期赤字の場合、当期の赤字を遡って前期の黒字にぶつけて、納付済みの税金を返してもらう制度です。

なにが特例として用意されたかというと、この制度は中小企業にしか認められていないのですが、それを、中堅企業(資本金1億円超、10億円以下の法人)にも使って良いよと、対象企業の範囲を広げました。

 

テレワーク等のための中小企業の設備投資税制(法人・個人)

中小企業者等が、設備投資をおこなうと、即時償却 or 税額控除ができる中小企業経営強化税制というものがあります。

 

即時償却って?

即時償却とは、設備投資したときに減価償却をすっとばして、投資額の全額を経費にすること

税額控除って?

税額控除とは、法人税額の20%を限度に、投資額の7%または10%の税金を減額すること

 

この制度が使える設備は、生産性向上設備(生産性が旧モデル比で平均1%以上向上する設備)か、収益力強化設備(投資による収益率が平均5%以上の投資計画に係る設備)でないといけませんでしたが、これに、テレワーク等のデジタル化設備が追加されます。

デジタル化設備の要件としては、遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかに該当する設備とのこと。

なので、簡単にいうと、テレワーク等の設備投資にかかった費用は、全額経費にするか、税額控除が受けられるということです。

 

文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対する払戻請求権を放棄した観客等への寄付金控除の適用(個人)

コンサートやイベントなどが中止になり、購入したチケットが紙くずになって、払い戻しができないものもあるでしょう。

そんなときは、主催者とチケット購入者、双方で一定の手続きが必要にはなりますが、寄付金控除の対象となる金額20万円を上限として、寄付金控除ができます。

ちなみに、主催者とチケット購入者の手続きについては、下記のとおり。

 

 

おそらく、払い戻しができない場合は、主催者側から案内が届くと思うので、チケット購入者は、それをもとに来年に確定申告をするというかんじになります。

年末調整では寄付金控除できないので、本来必要でない方も確定申告する手間が生まれ、還付はどれだけ早くても来年になる点が気になるところではあります。

 

住宅ローン控除の適用要件の弾力化(個人)

新型コロナウイルスの影響で、住宅の建設遅延により、令和2年12月末までに入居できない方についても、13年に延長された住宅ローン控除を使えるようにする措置です。

通常、住宅ローン控除を受けるためには、その年末までに、購入した住宅に入居していなければ使えません。
また、現在、控除期間が13年となっており、来年の令和3年に取得すると、控除期間は10年間になってしまうんですね。

しかし、一定要件を満たせば、控除期間13年の住宅ローン控除を使ってOKとなるようです。

 

一定要件

  1. 新型コロナウイルス感染症の影響によって新築住宅、建売住宅、中古住宅又は増改築等を行った住宅への入居が遅れたこと
  2. 一定の期日までに、新築、建売住宅・中古住宅の取得、増改築等に係る契約を行っていること
  3. 令和3年12月末までの間に、この住宅に入居していること

一定の期日とは?

新築・・・令和2年9月末まで

建売住宅・中古住宅の取得、増改築等・・・令和2年11月末まで

なお、適用OKといっても、令和2年分で適用できるのではなく、あくまで令和3年分以後の所得税から適用されるのでご注意を。

 

また、本来、中古住宅を取得した場合、取得から6ヶ月以内の入居を求める要件がありますが、一定要件のもと、6ヶ月超となっても適用OKとなるようです。

これも念のため、要件を載せておきます。

 

中古住宅6ヶ月以内入居要件

  1. 取得後に増改築等を行った中古住宅への入居が、新型コロナウイルス感染症の影響によって遅れたこと
  2. 増改築等の契約が、中古住宅取得の日から5ヵ月後まで又は特例法施行の日の2ヵ月後までに行われていること
  3. 増改築等の終了後6ヵ月以内に、当該住宅に入居していること

 

消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例(法人・個人)

すべての届出かなと思いましたが、そんなに甘くはなかった。

残念ながら課税事業者選択届出書と課税事業者選択不適用届出書の2つだけ。

簡単にいうと、消費税申告します or しませんの届出なんですが、これらの届出は本来、その事業年度がスタートする前日までに提出しないといけないところ、一定期間の売上が減少した場合に限り、事業年度スタート後に提出してもいけるよという制度。

そして、やっかいな2年縛り等を見逃してくれるようです。ここは良いのかなと思います。

 

  • なんで、わざわざ消費税申告しますの届出が有利な措置なん?
  • 2年縛り等ってなんやねん

 

こんな疑問ありますよね?

 

想定できる使い方としては、消費税の納税義務がない方なのかなと。

テレワーク等の設備投資などした場合、消費税の納税義務がない方は消費税の還付を受けられません。
でも、この特例を使えば、還付を受けられるうえ、翌年はまた免税事業者に戻れるんですね。

 

また、2年縛り等とは、簡単にいうと消費税の取戻し規定です。
例えば、免税事業者が課税事業者を選択して、消費税の還付を受けたら、課税事業者を2年続けた後でないと、免税事業者に戻しませんというもの。
ほかに金額の大きい設備を買った場合は、3年縛りというものもあります。

 

本来の制度でも、課税期間を短縮すれば還付は受けられますが、2年縛り等は逃げれませんので、そこは大きいのかなと思います。

 

特別貸付に係る契約書の印紙税の非課税(法人・個人)

新型コロナウイルスの影響を受けて、日本政策金融公庫などの公的金融機関や、銀行、信用金庫などの民間の金融機関から、通常よりも有利な条件の融資である特別貸付を受けた場合、消費貸借契約書の印紙税を非課税とする措置です。

なお、法案成立前に貸し付けを受けた事業者についても遡及的に適用して、還付がおこなわれるようです。

 

まとめ

以上が、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置です。

相変わらずケチな内容でしたね笑

でも、法案成立が前提となりますが、使える制度は使わないと損です。

関与されている税理士と相談のうえ、検討してみてはいかがでしょうか。

 

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