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役員借入金の問題点

2019年11月8日

前回は会社が役員にお金を貸した場合の課税関係などを確認しました。

今回はその逆。

役員借入金が発生するパターンのほとんどが、領収書の後出しです。

役員借入金が発生する、役員さんと経理の方のやりとりです。

 

会社のお金引き出すの忘れたな~
今回も立替とこうか。
もう決算か。領収書出さなあかんな~
また、まとめて領収書渡してきたわ・・・
こんなんいっぺんに返せませんよ!
ちょっとずつでもええし、ある時に返して。

 

大体、こんな感じで毎年少しずつ増えていく感じが多いです。
また、この状況に加えて、資金繰りが苦しい時にまとまったお金を会社に入れる場合もあるでしょう。

役員借入金も役員と会社の間での歴とした債権・債務です。
ズルズル清算できず金額が膨らんでくると、役員の身に万が一のことが起こった時、相続財産に含まれてしまいます。

回収できるなら問題ありません。でも回収できなかったからそのままになっていたのではないでしょうか。
放っておくと回収を見込めない相続財産に対して相続税を負担することになってしまいます。

 

今回は役員が会社のお金を貸した役員借入金の課税関係を解説します。

 

役員が会社に無利息でお金を貸した場合

結論を先にいうと、この場合は何も問題ありません

前回、法人(会社)は営利を追求するため、経済合理性の観点で、お金を貸すという行為にも利息(収益)を貰わないといけない旨、解説しました。

個人が会社に無利息でお金を貸しても問題ない理由は、個人も生活をしていくために営利を追求しますが、それだけを求めて活動しているわけではないからです。

また、営利を追求する法人側ではタダでお金を借りられたという経済的利益を受取っていますが、仕訳を考えると下記のように経費と収益が同時に発生し、所得は変わらない、結局、何もしなくても一緒となります。

 

支払利息(経費) ××× / 債務免除益(収益) ×××

 

役員が会社に利率を設定してお金を貸した場合

会社で利息を払ったら経費にできて節税できるのでは?と思った方もおられるでしょう。

ですが、利息を払った会社では経費になっても、受け取る役員は収益となるので、金額によっては確定申告が必要になってきます。

 

利率の設定が適正な場合

実は前回解説した会社が役員にお金を貸した場合の利率基準と違って、今回の場合の利率基準については何ら定めはありません。

ですが、実務上目安として前回解説した利率基準で考えてもらってOKです。

その利率の範囲で役員へ利息を支払った場合には、会社は支払利息として経費にできます。

一方、利息を受取る役員は、雑所得として確定申告をおこなうことになります。

 

役員貸付金の問題点

資金需要は法人(会社)・個人(役員)問わずあります。 会社は事業活動をおこなっているため、相対的に資金需要の頻度が多くなり、また取り扱うお金が大きくなります。 そこで何が起きるかというと、お金の貸し借 ...

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利率の設定が高い場合

上記のとおり、金利基準に定めがないので、ある程度の範囲であれば許容されますが、極端に高利な利息を役員へ支払っている場合、適正額を超える範囲は給与と認定され、源泉徴収の対象となってしまいます。

会社が役員に利息を払うと、役員自身、確定申告などで手間がかかるうえ、節税効果も得られないので、実務上、役員借入金の利息を計上する場合は非常に少ないと考えられます。

 

役員の相続財産となる役員借入金問題

ここが本題です。

役員借入金は、役員からみれば貸付金であり、相続が発生した場合は相続財産となります。

なお、ここでは役員借入金に関する内容をまとめていますので、未払給与や未払配当金については考慮していません。

 

役員借入金の評価額は?

もちろん元本と利息が評価対象となり、元本を返済されるべき金額とすでに経過した利息の支払いを受けるべき金額が評価額となります。

ただ、債務者である会社が会社更生法や民事再生法による更正(再生)手続開始の決定や回収が著しく困難であると見込まれる場合は、元本の価額に含まなくて良いことになっています。

この場合の回収不能額の判定は恣意(しい)的になりがちなので、回収可能性を巡って納税者が負けるケースが非常に多いです。

納税者は「債務超過の状態が相当期間続いており、売上も減少している」、「年商の数倍、金融機関からの借入金がある」ことなどを理由に相続財産に含まない処理をしますが、債務超過状態でも金融機関への返済が滞っておらず臨時弁済など求められた事実もないことから事業は継続できていると判断される傾向にあります。

回収が著しく困難であると見込まれる状況というのは、例えば融資の返済が全然できず、これ以上の資金調達もできない、従業員への給与が支払えず退職者が増え、事業が継続できないなど、ほぼ倒産状態の場合と理解するべきでしょう。

 

役員借入金の債務免除

役員から会社へ貸したお金は双方に債権・債務と認識し、少しずつでも返済するように心がけましょう。

どうしようもないほど金額が膨らんでいれば、役員報酬を下げて借入の返済をするのも良いでしょう。

あと、繰越欠損金(赤字の繰越)には期限があります。
例えば今年で期限が切れてしまう分を利用して、役員側で債権放棄をするのも良いでしょう。その場合、債権放棄を受けた会社では債務免除益という経済的な利益が発生しますが、期限切れを迎える繰越欠損金(赤字の繰越)で相殺できます。

 

ただし、債権放棄には注意も必要です。

債権放棄により経済的な利益を受けるのは会社だけではなく、株主にも影響するからです。

 

債権放棄による株主が受ける経済的な利益とは?

理屈としてはこうです。

 

step
1
役員(株主)が債権放棄をする。

step
2
会社の債務が減少するため、財務状態が回復する。

step
3
財務状態が回復するので会社の価値、株価が上がる。

step
4
役員(株主)から他の株主へ株価増加分の贈与があった。

 

繰越欠損金(赤字の繰越)の範囲内での債権放棄により、法人税の課税負担を逃れられても株の価値が上がってしまって贈与税が発生してしまうケースがあるので、債権放棄額については税理士に確認するようにしましょう。

 

まとめ

今回はここまでです。

いつも簡単でわかりやすい記事を心掛けていますが、簡単に書きすぎると誤って伝わる危険性もあるので、なかなか難しいですね。
そもそもテーマ選びが下手なのかもしれません。

ですが何事も継続が大事。

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