個人の税金 雑感

昭和と平成の相続、事業承継のちがい【令和の時代はどうなるのか】

2020年7月27日

 

最近、相続のお仕事をいただいたので、資産税のスイッチを入れるために、税理士会のオンラインセミナーへ。

検索してみると去年行けなかったセミナーがアップされていました。

「資産税についての全ての事項」by関根稔先生

なるほどなぁと思ったのが、冒頭の部分。

これからの相続や事業承継を考えるうえでの基本的な知識として、昭和と平成の変化を理解することが重要とのこと。

 

昭和の時代の特徴

  • 地価が上昇
  • 家賃が上昇
  • 事業が拡大
  • 寿命は70代

 

平成の時代の特徴

  • 地価が下落
  • 家賃が下落
  • 事業は縮小
  • 寿命は90代

 

先生曰く、これからの相続や事業承継は、昭和の時代に倣った60歳過ぎでこのような財産を子に承継させるのではなく、リタイアを10年遅らせて財産を承継させるべきだと。

 

先生がなぜこのような結論に至ったのかという理由と、財産移転の考え方などまとめたいと思います。

 

昭和と平成の相続、事業承継のちがい

まず、この先生の考え方をまとめる前に、関根先生ってどんな人か知らない方のためにすこしだけ。

関根稔先生って?

  • 税理士試験合格
  • 公認会計士試験合格
  • 司法試験合格

スゴスギマセンカ?

知ってはいましたが、改めてやはりすごい。

先生は、商業高校ご卒業後、町の会計事務所へ。そして税理士試験を合格されました。

税理士試験は、日商簿記1級を合格したことにより受験資格を得たとか。

さらに、同年、公認会計士試験にも合格し、大学卒業と同時に司法試験に合格。

わたしのような凡人には、もうなにがなんだかわかりません笑。

そんな先生のセミナーでした。

昭和の時代の相続や事業承継はどんなものだったのか

さて、本題。

冒頭の昭和の時代の特徴をもう一度確認しておきます。

昭和の時代の特徴

  • 地価が上昇
  • 家賃が上昇
  • 事業が拡大
  • 寿命は70代

わたしは昭和55年生まれなので、ほんとうの意味で昭和の時代を知りません。

でも、母親のことばでよく覚えているのが、「あの時代は7、8年ぐらい貯金をしていると、利息だけで倍になった」。

7、8年は言い過ぎかもしれませんが、あながちウソではないみたいですね。

ただし、物価上昇というインフレを考えると、現金の価値というものは今ほどではなかったようです。

どういうことかというと、現金がどんどん増えていったとしても、おなじ金額で買えるモノの量が少なくなるということ。

例えば、現在1リットルのガソリンが100円だったとして、1年後、おなじ100円で買えるガソリンは0.97とか0.96リットルになるということですね。

 

そんな時代なので、1億円の現金よりも1億円の土地。

地価と家賃が上昇するので、不動産賃貸業とかめちゃくちゃ儲かったようです。

地価の上昇もすごかったので、先生曰く、当時は銀行の頭取より、農家や地主の長男に生まれる方が良かったとか。

このような時代背景もあって、資産や事業を承継させるのは当然のことだったようで、相続対策や事業承継が必要だったんですね。

寿命は70代だったので相続人は40代が多かった

わかりやすい事例として先生が挙げていたのが、サザエさんの父親である磯野波平さん。

彼は54歳だそうです。

昭和の時代、磯野波平さんは被相続人(財産などを残して亡くなる方)候補でした。

それがいまでは、54歳の磯野波平さんはどう考えても相続人の役回りとなるんですね。

つまり、平成の時代で日本人の寿命は1世代分近く延びてしまったとのこと。

昭和の時代、子世代にとっていちばんお金が必要な40代に相続が発生することで、財産が親から子へうまくバトンタッチされていたんですね。

 

平成の時代の相続や事業承継はどんなものだったのか

平成の時代の特徴

  • 地価が下落
  • 家賃が下落
  • 事業は縮小
  • 寿命は90代

ここ数年、東京オリンピックやインバウンドの影響で、このあたりはなかなかイメージしにくいかもしれませんが、それは一部の地域だけのおはなしです。

住宅地の地価は減少し続けており、家賃も下落、空室も増加してきています。

家賃の下落について、先生もおっしゃっていましたが、わたしも経験があります。

「おなじ物件でも、むかしからの賃貸人の家賃は高く、現在の賃貸人の家賃は安い」ということ。

それだけ家賃も下がっているんですね。

 

また、物価について、さきほどの昭和の時代は、物価が上昇するというインフレの時代でしたが、平成の時代は物価が下がるというデフレの時代でした。

モノやサービスの値段が下がるので、良い事のように思えますが、そうではありません。

逆に現金の価値が上がっていくので、企業は従業員に多くの給与を払えません。

そうなると消費が冷え込むので、企業の業績も悪化し、事業はどんどん縮小傾向になります。

 

そんな時代なので、1億円の土地よりも8,000万円の現金が好まれます。

昭和の時代に儲かった不動産賃貸業も経営に窮することになります。

このような時代背景なので、なんでもかんでも資産や事業を承継させるのは疑問です。

相続対策や事業承継では、資産の処分、自分の後始末を検討する必要があるんです。

寿命は90代なので相続人は60代が多い

親世代の寿命が90代となると、子への財産のバトンタッチは当然に遅くなりますよね。

たしかに、勤務していたときの相続人の方々は若くても50代後半でした。

わたしは特になんとも思っていませんでしたが、昭和の時代を知る方からすると、時代の流れが変わったと思うそうです。

昭和の時代は子世代にとっていちばんお金が必要な40代に相続が発生することで、財産が親から子へうまくバトンタッチされていましたが、平成の時代の相続は、子の老後対策となっていたんです。

要するに、老後資金として相続するので、積極的にお金は使われませんよね。

 

令和の時代の相続や事業承継はどう考えるべきなのか

ポイントとしては昭和と平成の特徴を理解したうえで、これからの相続や事業承継はアドバイスするべきだと。

ポイント

  • リタイアは70代
  • 財産の移転は子が30代・40代のときに行なう
  • 事業承継は子が生活を作り上げる40代・50代に行なう

平成の時代、寿命は90代になっているといいました。

これからの令和の時代を考えると、寿命が100歳になるのは見えています。

100歳での子への財産のバトンタッチは避け、30代・40代で財産を移転させるのが良いとのこと。

 

例えば、30代で子に家を買って住まわせてあげる。

そうすることで、土地は値下がりし、建物も価値が年々下がっていきますので、毎年ちまちまと110万円を贈与するよりも大きな相続対策となります。

子世代にとっても、住宅ローンを組む必要がないのはおおきく、そのお金は孫への教育にまわります。

そしてなにより、子世代に感謝されるという効果があるようです笑

考えてみてください。

わたしは親から住宅取得資金として贈与を受け、残りは住宅ローンを組みました。

たしかにはじめはありがたかったけど、毎月住宅ローンは返済しているので、正直なところ援助を受けた実感はあまりないかなぁ・・・

わたしは親に家を買ってもらい、そこに住まわせてもらっています。

タダで住めているので、お金にも比較的余裕があり、子供の教育に結構お金がまわせます。

こんな生活が送れるのも親のお陰です!

こんなかんじになるのかなと。。。

 

事業承継のタイミングは子が生活を作り上げる40代や50代がベストです。

60代で事業承継を受ける子の立場になってください。

気力も体力も落ちてきている60代での事業承継はしんどいですよね。

子はまた10年ほどで次世代への承継を考えなければならなくなります。

 

長寿化した時代での相続や事業承継対策は、自分の財産のバトンタッチというよりも、早い段階での移転を実現させることで、子の財産形成に協力する・アシストするという考えが大事なのかもしれません。

 

まとめ

関根先生のお話は、ときに問題発言のような言い回しもされますが、凡人にも話がわかるように階段を下りてきて目線を合わせて語ってくださるので、分かりやすかったです。

今回、改めて、相続や事業承継対策の難しさというものを実感しました。

家族構成やひとりひとりの状況を把握しておかないと、こんなはずじゃなかったという対策の失敗も多いのではないかと思います。

今回のブログの内容は、セミナーの基本的な論点です。

要するに、税法の知識云々まえに理解をしておかないといけないところとして解説されていました。

なんども聞き直して、自分なりに勉強していかないといけないなぁと感じた週末でした。

-個人の税金, 雑感

© 2021 松澤税理士事務所