不動産賃貸収入に関する消費税ついて「これって消費税かかるんかな?」って思ったことありませんか?
例えば、下記のような不動産に関する収入は、消費税がかかるんでしょうか?
このあたりついて解説していきたいと思います。
1,000万円を超えると消費税がかかる?
「1,000万円を超えると消費税がかかる」
不動産に限らず、事業をしている方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。
これに関して、勘違いが多いのがこの2点
勘違いが多い
- 1,000万円を超えても消費税はすぐに課税されない
- 1,000万円はすべての売上で判定するものではない
1,000万円を超えても消費税はすぐに課税されない
例えば、居酒屋を営む個人事業主の売上が、今年はじめて1,000万円を超えたとしましょう。
この場合、今年すぐに消費税が課税されると思っている方が割と多いのですが、そうではありません。
正しくは、今年はじめて1,000万円を超えたことで、2年後に消費税の納税義務が発生したということを意味します。
2年後です。
なので、2年後の確定申告では消費税の申告もしなければなりません。
ちなみに、消費税の納税義務が発生しているので、2年後の売上金額は関係ありません。極端な話、売上ゼロであっても、赤字でも申告はしなければいけないんです。
1,000万円はすべての売上で判定するものではない
さて、やっと今回のお話に少し近づいてくる内容です。
じつは、この1,000万円というのは、すべての売上をかき集めてのものではありません。
売上には消費税が非課税となるものや、免税とされるもの、そもそも消費税が課税されないものなど様々です。
この1,000万円とは、消費税が課税されるものだけをかき集めて判定することとなります。
例えば、今回お話する不動産に関する収入については、課税か非課税(一部、消費税が課税されない不課税というものもでてきます)に分かれます。
なので、すべての売上が3,000万円あったとしても、そのうち2,500万円が非課税であれば、消費税の納税義務は発生しません。
では、不動産に関する収入で、どれに課税されて、どれが非課税になるのかを確認していきたいと思います。
不動産に関する収入には消費税がかかる?
では、不動産に関する収入で、課税となるものや非課税となるものについて確認していきたいと思いますが、その前にすこしだけ前提を確認しておいてください。
消費税は「消費」に対して負担を求める税金なので、消費という性格になじまないものとか、社会政策的に消費税を課税するとしんどいよねってものは、消費税は非課税とされています。
賃貸住宅の家賃収入や社宅収入
賃貸住宅も社宅も、住宅の貸付に該当するので、すべて非課税となります。
どちらかというと、社会政策的に非課税となるイメージなのかなと。
ただし、注意すべきこともあります。
注意ポイント
- 賃貸住宅とか社宅など、住宅の貸付の判定は、実態ではなく、契約書で判断
- ウィークリーマンションやホテルなどの宿泊収入は住宅の貸付ではないので、非課税とならない
また、住宅の貸付であっても、貸付期間が1ヶ月未満のものは非課税とはなりません。
店舗・事務所・倉庫・駐車場などの収入
住宅の貸付ではないので、課税売上となり、消費税が課税されます。
駐車場については、設備(フェンスやアスファルト、区画など)が整っているところに限り、消費税が課税されます。
なにもなく、ほぼ更地状態のところを駐車場として貸している場合は、土地の貸付になるので非課税となります。
共益費収入
住宅の貸付や店舗・事務所などの収入に付随して共益費を受取ることがあるかと思いますが、共益費は家賃収入と同様に区分します。
具体的には、住宅の貸付に関する共益費収入なら非課税、店舗・事務所に関する共益費収入なら課税といったかんじです。
水道光熱費収入
これは請求方法や経理処理方法によって違ってきます。
実費精算しているため預り金処理している
例えば、水道局などに支払う金額をそのまま相手方に請求し、その金額を売上計上せず、預り金として経理処理している場合は、消費税は不課税となります。
家賃収入や共益費に含めて請求している
家賃収入と同様に区分することになります。
賃貸住宅や社宅の家賃収入に含めて請求していれば、非課税。店舗・事務所などの収入に含めていれば、課税というように処理します。
水道光熱費単独で請求している
この場合は、水道などの消費に対する売上と考えるため、消費税が課税されます。
不動産賃貸業を営んでおられる方は、このパターンが一番多いのかなというかんじですね。
権利金・敷金・立退料などの収入
基本的に、敷金や保証金については、賃貸借契約の終了と同時に返還されますよね。
返還を前提に受取ったものについては、単なる預り金なので消費税は課税されません。不課税となります。
一方、権利金や契約更新料については、返還を前提に受取るものではありません。
返還しないものについては、資産の貸付に関する収入となるので、消費税は課税されます。
その際、共益費と同じように家賃収入と同様に区分することになります。賃貸住宅や社宅の家賃収入に関する権利金等であれば非課税、店舗・事務所などに関する権利金等であれば課税といった具合です。
不動産賃貸業を営む方は、立退料を支払うことはあっても受取ることは少ないと思いますが、立退料については消費税は課税されません。不課税となります。
理由としては、立退料は賃貸借契約解除によって権利が消滅したことによる補償などの意味合いがあるため、「消費」とは考えないためです。
ただし、これは賃貸借契約を締結している賃貸人から受取るものに限られます。例えば、まったくの第三者からの求めに応じて賃借権を譲渡した場合には、立退料という名目であっても権利を譲渡したことへの対価と考えられるので、消費税が課税されます。
土地の貸付収入
これは有名なので説明不要なのかもしれません。非課税ですね。
逆に非課税とならないパターンを確認していただいた方が分かりやすいのかも。
課税されるケース
- 土地の貸付であっても、貸付期間が1ヶ月未満の場合
- 土地付き建物(例えば戸建て住宅)の土地部分
資材置き場などで、一時的(1ヶ月以上であれば非課税)に土地を貸し付けた場合の収入には消費税が課税されます。
また、土地付き建物や施設の利用に伴う土地の貸付収入について、賃貸借契約書などで土地と建物と区分していたとしても、建物全体の貸付と考えられるので、住宅であればすべてが非課税、店舗・事務所であればすべてが課税ということになります。
まとめ
不動産に関する収入は、消費税の区分判断を誤ると大きく損をしてしまうことがあります。
実務的にたまにあるのが、賃貸借契約で賃借人が法人名義の場合、居住用契約であっても「課税」としているケース。
おそらく、「法人名義=事務所貸し」というイメージなんでしょうか。
こんなことになっていると、払わなくても良い消費税を払っているということも考えられます。
間違いがないか確認する意味でも、どこかのタイミングで見直してみるのも良いのかもしれません。