安倍首相が、緊急事態宣言延長に関する会見で、8月に5月8日に支給を開始するとした持続化給付金。
Twitterでは、早くも振り込みされたとの内容も見かけます。
さて、この事業者向けの持続化給付金は残念ながら非課税とはなりません。
課税されるので、経理処理が必要で、経理上の勘定科目は、フリーランスや個人事業主、法人問わず、振り込みがされた日に、雑収入として経理処理しておけばOKです。
さきに結論を書きましたが、持続化給付金の課税上の取扱いと経理処理、ちょっとした不満についてまとめようと思いますので、興味のある方は、読み進めていただければと思います。
持続化給付金は非課税ではない!!
何度もいいますが、非課税ではありません。
フリーランスや個人事業主の方には所得税が、法人には法人税の課税対象となるということですね。
ただ、持続化給付金は、売上が前年同月比で50%以上減少している事業者を対象にしているため、ほとんどの場合、固定費などで損失が上回ることになるので、結果的に課税されないというだけです。
結果的に課税されないってことは、経済産業省のホームページでも書かれています。
一時期流行った、大手携帯キャリアみたいな、「実質、無料」みたいなかんじですね。
なお、フリーランスや個人事業主の方は、所得区分をしますが、この持続化給付金は、事業所得となります。
ややこしいですが、消費税はかからない
持続化給付金は課税対象になるといいましたが、あくまで、所得税や法人税、地方税のお話。
消費税は課税されませんので、ご安心を。
消費税は、事業者がお金をもらって資産を売買したり、貸し付けたり、役務を提供したりした場合に発生しますが、この持続化給付金は給付を受けたことで何かを提供するというものではないため、消費税については課税の対象にはなりません。
これは、下記のような他の助成金や補助金についても同じことがいえます。
他の助成金や補助金も課税されるの?
新型コロナウイルスの影響を受ける事業者向けに給付される助成金や、補助金で課税されるものが結構あるんですね。
例えば、いま手続きの煩雑さと、給付の遅さが問題になっている雇用調整助成金なんかも課税されますし、各自治体が休業要請した際に支給する感染拡大防止協力金(名称は東京都のもの)なんかも課税されます。
いまに始まったことではなくて、このあたりは税法上、前々から、課税対象でした。
ですが、いまは緊急事態宣言中。
感染拡大防止協力金なんてものは、本来、国がすべきところ、自治体が苦しい財政状態のなか、支給すると決定したのに、自治体からの要請も聞き入れず、原則どおり課税対象とすると。
国民一人あたり10万円の特別定額給付金と同じように、新型コロナ税特法に盛り込んで非課税とするだけやんと思ってしまいますが、そんなに簡単ではないんでしょうか。
おそらく国は、事業者向けの持続化給付金については、少なからず不正受給も想定しているんでしょうね。そのため、少しでも取戻しができるように非課税としなかったんでしょうか。
持続化給付金の経理処理
冒頭で、持続化給付金の振り込みがあった日に、勘定科目は雑収入として経理処理すれば良いといいました。
個人的に気になるのは、収益計上時期について。
収益計上時期については、一般的に、なるべく遅く計上した方が税務上は有利になると考えられています。(いまは赤字のところが多いかもしれないので、早く計上しても影響ないかもしれませんが・・・)
例えば、5月末が決算期の法人が、持続化給付金の申請をして、未入金だったときは未収入金計上しなくても良いのか?って問題です。
通達では?
持続化給付金が、下記通達に当てはまるのか微妙なところなんですが、持続化給付金も法令に基づき交付を受ける給付金なので、準用してOKかと思います。
法人の支出する休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補填するために雇用保険法、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定等に基づき交付を受ける給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする。(昭55年直法2-8「六」、昭59年直法2-3「一」、昭63年直法2-14「一」、平12年課法2-7「二」、平23年課法2-17「四」、平30年課法2-28「二」により改正)
(注) 法人が定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったこと等によりこれらの法令の規定等に基づき交付を受ける奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する事業年度の益金の額に算入する。
法人税基本通達2-1-42 (法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)
よくわかりませんよね笑
この通達の逐条解説に目をとおすと、法令の規定に基づいて給付を受ける給付金等の収益計上時期については、2つの取扱いがあるとのこと。
2つの取扱いとは、注書きまでの部分と、注書き部分ですね。
例えば、注書きまでの部分に該当するような助成金として、雇用調整助成金というものがあります。
この雇用調整助成金は、休業手当や賃金など経費の補填を前提に給付されるというものです。
この場合、金額がわからなくても給付金の見積もり計上を求めています。
なぜかというと、収益と費用を同一事業年度で対応させるためです。
一方、法令の規定に基づいて給付を受ける給付金等であっても、経費の補填を前提に給付されるものではない場合は、支給決定を受けた時点で収益計上しなさいというもの。
さて、そこで、持続化給付金の性格を確認しておきます。
経済産業省にあがっているお知らせでは、下記のとおり。
そもそも給付対象者は、前年同月比50%以上売上が減少した事業者となっていますし、上記の意義も、経費の補填を前提に支給されるものではなさそうです。
結局のところ、持続化給付金は、支給決定を受けた時点で収益計上したら良いと思っています。
決算間際に申請をしたが、振り込みがまだという場合、決算日までに支給決定の通知を受けたら収益計上し、支給決定の連絡もなにもなければ、経理処理不要ってことで良いと思います。
まとめ
持続化給付金は、課税されるので経理処理をして申告しましょうというお話でした。
収益計上時期は基本的に振り込みのあった時期でOK。
申請から給付まで決算日をまたぐような会社では、決算日までに支給決定の連絡があれば収益計上し、なければ翌事業年度に振り込みがあったタイミングで収益計上したらOKです。