寡婦控除については、すこし前に改正前の内容をまとめました。
寡婦控除は、あまり知られていないこともあって、税金を間違って多く払い過ぎている方が結構多いんです。
そこで前回の記事は、控除していなかった方に向けて、5年分さかのぼって税金を返してもらいましょうの趣旨でまとめています。
「あれ、もしかして?」と思った方は、要件など確認してもらって、まとめて税金を返してもらいましょう。
改正前の内容はコチラ
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さて、令和2年より寡婦控除が改正されました。
内容としては、これまで控除できなかった「ひとり親」の方に35万円の所得控除が設けられ、改正前の「特別の寡婦」は廃止されました。
「ひとり親」という控除が用意されたことで改正前の寡婦(夫)や特別の寡婦の方が「ひとり親」控除を受けることも考えられますので、改正内容をご確認のうえ、税金を払い過ぎないようにしてください。
寡婦控除の改正
改正の概要はこのようなかんじです。
ひとつずつ確認していきたいと思います。
事実婚の状態にない未婚のひとり親で、合計所得金額が500万円以下の方は、35万円の所得控除が受けられる
ひとり親って、簡単にいうと婚姻歴や性別にかかわらず、扶養している子がいる単身者のことです。
いわゆる、シングルマザーやシングルファーザーといわれる方々ですね。
このひとり親の定義について、税法が世間の認識とズレているということはありません。
なので、一般的な解釈でOKだと思います。
ただ注意が必要なのは、法律上の婚姻関係はないが、夫や妻と事実婚の状態にあれば、当然ひとり親ではなくなるので、控除は受けられません。
また、合計所得金額が500万円以下という所得制限も設けられています。
合計所得金額が500万円以下とは、給与でいうと、年収6,888,889 円以下の方。
まとめると、シングルマザーやシングルファーザーで、事実婚の状態になく、年収が6,888,889 円以下であれば、ひとり親控除を受けることができます。
改正前の寡婦にも合計所得金額が500万円以下という所得制限と、事実婚の状態にないという要件が設けられた
改正前の寡婦とは、下記のいずれかに該当する方でした。
イメージとしては、改正前の寡婦は、旦那さんと離婚した後、再婚せず、ご両親を扶養している方が該当していました。
お子さんを扶養している方々というのは、ほとんどの場合寡婦ではなく、後述する特別の寡婦に該当していたので、寡婦はこういった方が対象になっていたんですね。
改正後はどうなったかというと、1.の場合は「合計所得金額が500万円以下」と「事実婚の状態にないこと」という2つの要件が追加されました。
2.の場合は「事実婚の状態にないこと」という要件が追加されました。
なので、これまで寡婦控除を受けてこられた方は、年収が6,888,889 円以下で、事実婚の状態もなければ、改正後も引き続き寡婦控除を受けることになります。
ちなみに控除額も27万円と変わりありません。
特別の寡婦が廃止された
改正前の特別の寡婦とは、下記のような方。
見ていただくと、ひとり親の定義とほとんど同じだとわかります。
特別の寡婦
夫と死別または離婚し、扶養親族である子を有し、かつ合計所得金額が500万円以下である者
結果的に、改正前に特別の寡婦控除を受けていた方は、改正後、事実婚の状態になければ、ひとり親控除を適用できることになります。
ちょっとややこしいので、国税庁ホームページにあげられている改正前後の関係図をご確認ください。
適用開始日にはご注意を
冒頭のとおり、この改正は、令和2年以後の所得税について適用されます。
ただし、通常税制改正は適用時期が1年後とか2年後となることが多いんですが、今回は改正内容がすぐに適用されるので、実務的には注意が必要です。
改正を知らなかったという方、ハッとしなくても大丈夫です。安心してください。
平たく言うと色々と準備が間に合わなかったので、今年の毎月の源泉徴収は改正前のものでOK。年末調整と確定申告は、改正後の内容で控除して下さいということ。
まとめ
寡婦控除の要件ってほんとうにややこしい。
毎年、年末調整が近づくと確認するようにしていますが、その都度、ほんと解釈が難しいなぁとかんじます。
年末調整、確定申告時期に確認しておかないと、聞かれて即答するのは無理でしょう笑
寡夫のことには全然触れていませんでしたが、改正前に寡夫の控除を受けていた方は、事実婚の状態になければ、ひとり親の要件を満たすことになるので、ひとり親控除が適用されます。
また、今回の改正で、所得控除額が増えるのは、ひとり親の方が0円から35万円へ、寡夫の方は27万円から35万円になり、他の方は変化ありません。