特に税理士変更を促す記事ではないんですけど、2020年5月号の税務弘報という業界紙において、「他事務所からの顧問先の引継ぎ」について特集されていましたので、少しまとめてみようかなと。
その業界紙では、数名の税理士および税理士事務所の方が執筆されており、内容としては、他事務所からの税理士変更の理由から顧問先のニーズ(隠れたニーズを含め)を把握することの重要性や、ミスのない引継ぎ方法など、事例を交えて特集しているものです。
見聞きした自身の経験も含めて税理士変更の理由は、このようなかんじが多いのかなと。
幸いなのかどうかわかりませんが、わたしは勤務していたときも含めて解約などは経験していません。
だからといって、お客様はわたしに対して不満がゼロというわけじゃないと思っています。
代わりの税理士が見つからなかったのか、税理士の変更までの理由ではないのかなど、ほんとうの理由はわかりませんが、たまたまだと思っています。
このあたりの税理士変更の理由と変更のタイミングについてまとめていきたいと思います。
ちなみに、わたしは一人で税理士事務所を運営しているので、関与できるお客様を限定しています。
お客様が増えてきたからといって、ヒトを雇ってまで関与することは考えていません。
その意味で、わたしは狭く深く関与していきたいと考えていますので、それがお客様からイヤだと言われれば、うちの事務所は税理士変更の理由になるのかもしれません笑
あと、業界の方からはバカか?と思われるかもしれませんが、うちの事務所は、商圏というかサービス対象エリアを、大阪や関西圏だけと、限定はしていません。
もちろん頻繁に伺うことはできないので、お会いする頻度は少なくなってしまうことは事実ですが、お客様がそれでも問題ないのであれば、わたしは全然ウェルカムです。
色々なところに行ってみたいので。
税理士変更の理由
現在の新型コロナウイルスの対応は税理士にとって難しいもの。
持続化給付金や休業協力金、セーフティネット、各種補助金の手続きなど、積極的に支援しているところもあれば、アドバイスだけで対応はお客様にしていただくなど様々でしょう。
良い悪いは別として、いまの状況ではなかなか手続きに関する料金も請求しづらいこともあり、税理士事務所のほとんどが後方支援なのかなと。もちろん積極支援する分、料金を頂戴するという関与をしている方もいらっしゃるでしょうし、無料で積極支援する事務所もあるでしょう。
ただ、会社も非常事態のときなので、ちょっとしたことで、これまでの不満が爆発するということもあるのかなと思います。
会社がおこなっている業務内容への理解がない
多くの税理士事務所は、担当者がいて、所長税理士がいるという経営スタイルですよね。
なので、お客様は所長税理士ではなく、担当の方と接することがほとんどだと思います。
そして、たま~に所長税理士が担当者と一緒にやってくるというかんじ。
むかしから所長税理士とお付き合いのあるお客様だったら良いですけど、そうでない場合、じつは所長税理士って、お客様がどんな商売をしている会社とか、特徴ってあまり把握してないんですよ。
訪問前にどんな会社か、どんな社長か、どんな数字かをさらっと聞き取り、伺うことがほとんどです。
もちろん、ちゃんとすべてを把握している先生もいらっしゃいますが、数が多ければ多いほど難しくなりますし、担当者がしっかりしていれば、お客様自身もそれほど不満は生まれないのかもしれません。
でも、担当者自身、お客様の商売内容をきちんと把握していなかったりすると、当然、所長税理士へも伝わっていないことになります。
誰もなにも把握できていないというお客様からすると、とても不幸な状況です。
日常業務はそれでまわるのかもしれませんが、税務調査のときにボロがでますよね。
税務調査での対応姿勢が税務署寄り
お客様がおこなっている業務内容を理解できていないと、それに関連する会計や税法の勉強や準備をしていないということ。
なので、決算時にも税務署対応を想定して理論武装をしておくわけでもなく、行き当たりばったりで税務調査に挑むことになります。要は丸裸ですよね。
また、業務内容を把握していないので、会社側の立場や考えなんか主張できるわけありませんよね。
結果的に税務署寄りの対応となってしまうことが多いんですね。
お客様としては、税務署寄りの対応はもちろんのこと、我々のことを何も理解されていなかったという裏切りに近いことをされ、結構なダメージを受けることになるんじゃないかと思っています。
料金とサービス内容が合っていない
これは、以前の記事でも触れていますが、話し合いが必要なのかなと思っています。
そこで双方納得できなければ解約ということになるんでしょうか。
税理士顧問料記事についてはこちら
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税理士顧問料について【新型コロナウイルスの影響で見直そうかなと思ってます】
税理士顧問料について、こんなこと思ったことありませんか? 税理士顧問料って高いのか安いのか。高いのか、安いのかの考え方は、支払う料金と提供されるサービス内容が均衡状態にある ...
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基本的に少ない料金プランで、隙間のないサービスを求めることは出来ませんので、契約時に双方納得したうえで料金とサービス内容を決めるしか方法はないのかなと思います。
そして、これは税理士事務所目線なんですが、会社は事業が拡大していくことで取引量も従業員数も増え、税理士事務所の手間も増えることになります。
その時々で料金とサービスの見直しというのもあり得えます。
もちろん、その逆もありますよね。
会社が縮小なり、税理士事務所の手間を引き取る分、料金の見直しをしてもらうということも当然にあり得ます。
新型コロナウイルスの対応をしてくれない
いま多いんじゃないかと思っています。
税理士事務所の立場も痛いほどわかるので、難しいところです。
税理士事務所からすると、お客様すべてに対して新型コロナウイルスの対応(どこまで対応するかという問題はありますが)をすべて無償で、というのは不可能に近いのかなというかんじです。
お客様からしても、料金を取られること自体に不満を持つ方もいらっしゃるでしょうし、料金は取ってもらって良いから、きちんと対応してくれ、情報を提供してくれ、選択肢や提案をしてくれというご要望もあるのかなと思います。
うちの事務所は冒頭のように、関与できるお客様を限定していることもあり、新型コロナウイルスの対応は、通常の料金プランの範囲で、できる限り対応しています。
ボランティアをしているわけでも、良い人アピールをするわけではありません。
単純にみんなが困っているこんな状況で、別途請求なんか性格的にできないというだけです笑
商売に向いていないのかもしれませんね。
そもそも性格(相性)が合っていない
これは早いこと担当を変えてもらうか、税理士の変更をおすすめします。
付き合いたくない人とお金を払ってまで付き合うことないですよ。
この不満を持っている方に関しては、背中を押します。
税理士を変更しましょう。
おそらく、お客様自身が性格や相性が合っていないと思っているということは、税理士側もそう思っているはず。
お金と時間が勿体ないので、迷わず変更しましょう。
会計や申告書などでミスが発覚した
大きなミスは置いといて、不思議と細かなミス(程度加減はありますが)だけでは、税理士事務所の変更にはならないのかなと思っています。
あくまでわたし個人の感覚ですが。
なぜというはっきりした理由はわかりません。
考えられるのは、お客様は税理士の変更ってなにかと大変、嫌がらせをされるなど、漠然としたデメリット的なことがあるのかもしれないという不安を持っているのかもしれません。
嫌がらせなどは、その関わっていた人の性格なので、あるといえばあるのかもしれません。
また、税理士の変更となると、一から会社のことを説明したり、新たな関係を築いていくことは確かに大変かもしれません。
しかし、そのあたりは変更先の税理士も柔軟に対応してくれるはずなので、思った以上に手間がかからなかったというパターンも多いもんです。
税理士変更のタイミングはいつが良い?
いざ、税理士を変更しようにも、いつが良いのか、思い立ったが吉日なんでしょうか。
ベストのタイミングは、決算・申告後ではないでしょうか。
新たな事業年度からですと、揉めるケースが多い、期中の会計データのやり取り(顧問契約が解消される税理士側が、期中までの会計データを提供しないなど非協力的な態度を取るなど)の必要もなくなりますし、ひとつの区切りにもなります。
上記のような税理士変更理由は、いってしまえば不満ですよね。
会社からすると、しなくても良い我慢、見えない負債、将来発生するかもしれない税務リスクなのかもしれません。
決算は会社の資産・負債を整え、損益を確定させる作業。
税理士への不満があれば、負債を整理する意味で、決算作業に税理士変更を含めてみることもタイミングとしては理にかなっているのではないでしょうか。
まとめ
税理士変更の理由とタイミングについて思うことを少しだけまとめました。
冒頭の税務弘報を読んでいると、税理士変更で大変なのは、どちらかというと変更先の税理士事務所なのかなという印象です。
まぁ大変だからといっても、税理士はみんな喜んでやってくれるんでしょうけどね。