個人の税金

フリーランスや個人事業主の退職金はどうなっている?【節税しながら退職金を準備できる小規模企業共済を利用しよう】

2020年2月13日

結論的には、フリーランスや個人事業主の方は、どんなものでも「自分」に対する支払いは基本的に経費にはなりません。なので、給与や退職金は経費にならないんです。
退職金に関しては、これでは少々酷なので、経費にしつつ将来の退職金を積み立てていく小規模企業共済という制度が認められています。

フリーランスや個人事業主の方にとっては、定番中の定番の節税策なので、ご存知の方も多いかと思っていましたが、意外とそうでもないんですね。

まだまだ知らない方も多いようです。

なので、今回は、フリーランスや個人事業主の退職金問題についてまとめていきたいと思います。

加入しようかどうか迷っている方、この制度自体知らなかった方は、是非読み進めていただいて、節税効果など確認したうえで、将来への備えを検討してみてはいかがでしょうか。

 

フリーランスや個人事業主の退職金はどうなっている?

フリーランスや個人事業主の会計・経理処理は少し独特なので、会社の経営をされている方や経理担当者など、会計に普段接している方でも、理解されていないケースが結構あります。

例えば、本当によく受ける質問の一つに、「わたし自身の給与や社会保険料は、どう処理したら良いんですか?」

会計事務所にいる方ならあたり前のように知っていても、会社の会計だけをやっている方からすると、「ん?給料として支給したらいいんじゃないの?」とか「社会保険料は法定福利費ではないの?」と考える方が多いのではないでしょうか。

従業員さんに対する支払いは、それでOKですが、ご自身の分は経費(社会保険料については、所得控除として経費のように扱われます)にはできません。

 

認めてしまうと経費の二重控除を認めてしまう

自分に対する給与や退職金を経費にすることを認めた場合、一旦、商売上の利益(事業所得)を計算する上で経費になって、給与所得を計算するときに給与所得控除という概算経費が控除されることになり、経費の二重控除になってしまいます。

このことから、フリーランスや個人事業主の場合は、自分への給与や退職金は経費になりません。(退職金も同様に退職所得控除というものがあります)

ただし、会社の場合は、これが認められているんです笑

会社では役員報酬として経費にできて、役員報酬を受取る個人では、給与所得控除の概算経費が控除できます。経費の二重取りですよね。

このあたりの問題や、個人事業主は法人に比べて節税手法が限定的、税率が高いことを材料として、一定規模を超えると個人事業主から会社組織(法人成り)への変更を検討したりします。

 

では、どうすればいいのか!?

フリーランスや個人事業主については、給与という考えはなく、事業上の儲けは、すべてその人の収入として課税されます。
えっと思われるかもしれませんが、言い方を変えると、税金を納付した後の儲けはすべて自由にできるんです。

退職金に関しても同様で、税金を納付した後の儲けは、自分で蓄えておいてねというスタンスです。

ただし、退職金に関しては、経費にしつつ将来の退職金を準備できる小規模企業共済という制度があります。
この制度は、掛金を自分で設定できて、その掛金は所得控除として経費にすることができるので、所得税と住民税を節税できます。

税金を納付した後の儲けを自分で蓄えておいても、1円も経費にはなりません。
でも、この制度を利用すれば、節税しつつ将来の蓄えができるのでフリーランスや個人事業主にとっては、とても良い節税方法だと思います。

ここでは詳しい制度の概要は書きませんので、詳しくは下記ご覧ください。

小規模企業共済についてはこちら

ちなみに節税効果はどのようになるのか

節税効果は、掛金と、利益(所得)に左右されるので、まちまちなんですが、ざっくり試算すると、掛金月額5万円、利益(所得)が500万円という場合、所得税と住民税あわせて約18万円の節税になります。

仮に、これを20年(20年掛け続けないと元本割れするデメリットがあるので)続けると掛金総額は1,200万円となりますが、退職金として受け取れる金額は、約1,400万円になるようです。

理論的に節税効果を含めた返戻率は167%(1,400万円÷(1,200万円-18万円×20年))になります。

かなりのリターンですよね。

ご自身の状況での詳しい掛金や、所得設定での節税効果や返戻率の確認は、下記でシミュレーションできますので、加入前に確認してみてはいかがでしょうか。

節税効果などのシミュレーションはこちら

 

受取るときはどうなる?

契約者の立場や請求事由によって異なりますが、フリーランスや個人事業主を廃業した場合を想定すると、退職金として一括で受け取るか、年金として少しづつ受取るかを選択できます。

これも受取る金額によりますが、一般的にこれらの所得の性格上、どちらを選択しても退職所得控除や公的年金等控除など、税制面で優遇されているので、それほど多くの税金が課税されることはありません。

なので、経費として節税をしつつ、リターンも多く受取り、出口(将来の退職金)でも優遇を受けることができるので、フリーランスや個人事業主の方は利用したほうが良いのではないでしょうか。

 

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