個人の税金

個人事業を廃業したときの消費税申告【税務署でも、みなし譲渡課税の確認をしていなかった!?】

2020年1月30日

税理士業界では、ほとんどの人が読んでいるであろう有名な税務通信。
わたしは読んでいませんが笑

あれは、レイアウトだったり、週刊誌故にネタ切れなのか、これからの動向とか展望的な記事が目立って、読む気が失せたというのが原因です。

かといって、全く何も読んでいないわけではありません!!

わたしは税務弘報という、月刊誌は読んでいます。

今回は、その税務弘報(2020年2月)の記事から。

何やら、平成30年度の会計検査院の指摘では、個人事業者の廃業時に消費税のみなし譲渡課税が適正にされておらず、また、税務署においても国税庁から国税局などに対して通知や指導などしていなかったため、税務署でも確認手順が確立していなかったらしい…

要するに、納税者側ではみなし譲渡課税なんか知らないので、そのまま申告、税務署側でも、確認していなかったと。

なんじゃそれって感じですよね笑

確かに、この論点は税理士でも忘れやすいとこだと思います。
でも、これまで、正直者が馬鹿を見る状態になっていたんですね。なんかショックです。

今回の記事が、同業者や、これから廃業を考える方の参考になれば幸いです。
では、このあたりについてまとめたいと思います。

 

消費税のみなし譲渡課税とは?

消費税法での課税の対象は、「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」とされています。

また税法には、みなし規定というものがあります。

個人事業者では、事業と家事(プライベート)の線引きが難しいことから、下記みなし規定が発動します。

「個人事業者が棚卸資産および棚卸資産以外の事業用資産を家事のために消費し、または使用した場合、その消費または使用については、事業として対価を得て行う資産の譲渡等とみなす。」

例えば、このことを知らない居酒屋さんで税務調査がおこなわれるとこんな状況になります。

居酒屋さんは毎日どんな感じで営業していますか?
お昼から営業しているんですか?

いえ、お昼は営業していません。
午前中から仕込みを始めて、17時開店、23時閉店です。

その間、食事はどうしているんですか?

仕込み途中に、まかないを食べて、営業後、余りもんで何か作って食べます。

その分の売上は計上されていますか?

ウッ・・・リアゲ!?

ワタシアナタナニユッテルカワカラナ~イ

 

このように、棚卸資産については、イメージしやすいのかもしれませんが、事業用資産についても同じように考えます。

 

事業用資産のみなし譲渡課税

今回問題となった、みなし譲渡課税は、個人事業者の廃業時の事業用資産について。
これについては原則として、事業廃止時に家事のために消費し、または使用したものとして取り扱うこととされています。

まず事業用資産とは、建物や車、機械、備品などの固定資産をイメージして頂ければ良いです。
この事業用資産は、確定申告のときに、減価償却として耐用年数に応じて費用にしていきますが、未償却残高(まだ費用になっていない部分)も決算書に添付することになっています。

なので、隠せません。

次に、消費税の対象とされるのは、いくらといった問題があります。
この場合、その資産の廃業時の時価なんですが、時価とはよくわからないので、財務省の見解として、未償却残高が一つの指標になるとしています。

例えば、営業車として使っていたものを廃業時に売却していれば良いですが、廃業後も自家用車として使い続けたという場合、未償却残高で消費税が課税されるんです。

 

これまでの税務署の確認状況

冒頭では、国税庁から国税局などに対して通知や指導などしていなかったため、税務署でも確認手順が確立していなかったと書きましたが、全く機能していなかったわけではありません。

税務職員のなかでも、知識として備えている方は当然に確認しますし、抜けていれば指摘をすることもあったでしょう。

しかし、マニュアルの作成などが出来ていないため、この項目に関しては、属人的な要素になっていたのでしょう。

その結果、どんなことが起きていたのか・・・

 

課税漏れが結構多い

平成27年から平成29年までに事業を廃止した個人事業者851人のうち、事業者資産を保有して廃業したのは703人で、未償却残高は15億0201万円となっていた。

その703人のうち、未償却残高の合計が100万円以上となっていた者は349人で、その305人が消費税のみなし譲渡の申告をしていなかったとの結果だったようです。

ちなみに、その305人の未償却残高合計は11億8542万円だったようで、ほとんど課税されてないやんって話です笑

 

会計検査院の指摘を受けてどうなったか

国税庁は、会計検査院の指摘を受けて、事業廃止届出書や未償却残高が記載されている決算書を有効活用して、みなし譲渡の確認を行うよう、令和元年9月に事務連絡を発し、各種会議により周知するとともに、質疑応答事例をホームページに掲載して納税者にもアピールすることとなりました。

気になる方は参考にしてください。

国税庁のアピールはこちら

まとめ

今回のことをまとめながら思ったのが、個人事業者の場合、廃業じゃなくてもちょっと忘れやすいよなと思いました。

例えば、個人事業者が営業車両を売却すると、事業所得ではなく譲渡所得になるので、消費税申告書の作成の際には、事業所得の集計ばかりに目がいって、譲渡所得のことを忘れてしまう、気が回らないというパターンも意外と多いのではないかと思います。

まぁ、税務署も指導に力を入れることですし、我々としても今後注意しないといけませんね。

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