リベートとして、お中元やお歳暮として商品券などを渡す機会も多いと思います。
でも、経理処理では、金銭の支出の目的や相手方の氏名や住所など帳簿書類などに記載しておかないと、費途不明金や使途秘匿金を疑われることになります。
費途不明金や使途秘匿金と認定されると、かなり重たい課税が待っているので、これは避けなければなりません。
今回は、このあたりについてまとめますので、商品券や興行チケットなどを経費処理していることが多い方は参考にしていただければと思います。
また、税務調査対応や今後の経理処理についてもまとめようと思いますので、こちらも参考にしてみてください。
費途不明金や使途秘匿金を疑われる!?
ここでは、費途不明金や使途秘匿金の内容や、課税方法についてみていきます。
似たような意味ですが、結果(課税方法)は異なりますので、理解しておいてください。
費途不明金と使途秘匿金の違い
まず、費途不明金について。
これは、どんな名目で経理処理しても、お金の使いみちや理由などが説明できないといった、費途が明らかでないものです。
次に、使途秘匿金について。
会社がリベートや贈与、供与などで金銭等の支出をおこなった場合、その内容の説明と相当の理由がなく、その相手方の氏名や住所などを記載しないものをいいます。
相当の理由とは、相手方に迷惑がかかるからというざっくりした言い訳は通用しないので、ここで切り抜けるのは厳しいかと思います。
まとめると、費途不明金は、「経費とする理由」が説明できないもの、使途秘匿金は「誰に何のために」というところが明らかにできないものと考えていただければ良いかなと思います。
こんな場合は疑われる!
上記で少し例にも出しましたが、商品券などを贈る際、相手方を帳簿書類に記載しない場合や、税務調査の時に配布先リストを提示できない場合には、使途秘匿金を疑われます。
疑われた場合、費途不明金か使途秘匿金かによって課税方法が異なります。
費途不明金や使途秘匿金になると、どんな課税がされる?
まず、費途不明金については、単純に経費として認められないだけで終わりです。
法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭でその費途が明らかでないものは、損金の額に算入しない。
法人税基本通達9-7-20 費途不明の交際費等
実務的にはあまりないかもしれませんが、費途不明金は領収書などないことが多いので、消費税を計算する上でも、経費(仕入税額控除)とはできません。
次に、使途秘匿金。
これに該当すれば、通常の法人税に加えて、使途秘匿金の支出額の40%が追加で課税されます。
長いので引用しませんが、気になる方は、措法62①をご確認ください。
税務調査での対応
会社を経営していると、色々あることは分かっています。
例えば、利害関係者にこのような贈り物をすることもあるでしょう。
そして、相手の都合上、明らかになることや反面調査があると余計に困ります。
では、会社がこのような費途不明金や使途秘匿金を認めると、相手方への反面調査が無くなる、見逃してくれるのかというと、そうとも限りません。
会社が肩代わりすれば済むというものではありません。
ですが、実際の調査の現場では、このような司法取引のようなものがおこなわれます。
この時の交渉としては、調査官へ相手方への追及はしないでくださいと約束したうえで、相手方の情報を示し、会社の経費ではなく役員賞与と認めるというところでしょうか。
決して、課税方法の違いを利用して、費途不明金と主張しない方が良いと思います。
そうすれば、調査官も人間。必ず相手方への追及にも力を入れるはずです。
こちらのお願いもしつつ、向こうの言うことも受け入れることが重要になります。
税務調査での対応を踏まえて今後の経理処理の提案
相手方の素性を明かしたくないリベートなど経費にできへんやんとなりますよね。
結局、税務調査では、明らかにしないといけない。また、役員賞与で損金算入できず、源泉課税もされる。
では、初めからこのように経理処理したらいいんじゃないでしょうか?
つまり、このあたりのリベート相当分、毎月の役員報酬を上げて、源泉も引かれた後のポケットマネーから出したものは、使い道も相手方の素性も明かす必要はありません。
そして、毎月の役員報酬は源泉はかかりますが、役員報酬は経費になります。
相手の情報を明らかにしたくないような商品券などを多く出す必要がある商売など、後々のリスクを考えると、初めから交際費としてではなく、役員報酬として上記のような経理処理に変更する方が結果的には節税につながるのではないでしょうか。
まとめ
数年前、担当していたお客様でも危うく使途秘匿金課税をされそうになったことがあります。
税務調査で、交際費処理していた興行チケットについて、配布目的とその相手方について教えて欲しいとの質問に対して、チケットの配布目的はリベートのようなもので、配布先である事業関係者の氏名等は、相手方に迷惑がかかると今後の事業活動を考えると、教えられない。
では、使途秘匿金ですねと。
この時もやはり、反面調査はしない約束で、相手方の氏名等明かし、一部を社長に対する役員賞与とすることで落ち着きました。
こういった指摘を受ける可能性を考えると、やはりこのあたりの経理処理は上記のようにしておいた方が良いのかもしれません。