会社の税金

在庫(棚卸資産)計上を極力減らした節税の提案

2020年1月15日

決算のときにおこなうであろう、在庫(棚卸資産)チェック。

本題に入る前に在庫(棚卸資産)がどこに影響を及ぼして、なぜ節税になるのか簡単に確認します。

 

図では、売上原価の計算方法が省略されていますが、売上原価700というのは、前期から繰越してきた在庫と当期に仕入れた分を足して、翌期に繰越す在庫を差し引いて計算します。

前期在庫200は前期に仕入れた分ですが、前期には使いきれず、当期に回ってきたので、前期の売上原価の計算上、除かれます。

当期に回ってきた前期在庫200と当期仕入の800を足すことで、当期の仕入総額が計算されますが、そのうち、当期には使いきれなかったものは翌期の売上原価の計算に回るので、当期の売上原価の計算上、除かれます。

なので、当期在庫が増えれば、売上原価が少なくなるので、その分、利益が計上され、逆に当期在庫が減れば、売上原価が多くなるので、その分、利益が圧縮されます。

在庫(棚卸資産)は、上記のとおり、直接原価である売上原価、利益に影響するので、税務調査では必ずチェックされるところです。
税務署としては、当期在庫が過少に計上されていないか、在庫(棚卸資産)漏れはないかをチェックするわけです。漏れが確認できれば売上原価が少なくなって、利益が増え、税金が取れるから頑張るんですね。

 

さて、在庫(棚卸資産)がどのように影響するかわかったところで、本題です。

在庫(棚卸資産)って、そもそもどこからどこまでかわかりますか?
正しい棚卸資産の範囲を理解して、極力在庫を減らして節税をしてみましょう。

 

棚卸資産とは

イメージしやすい売上に直結するような商品、製品、原材料のようなものから、製造業であれば少しイメージしにくい完成途中のような製品なども棚卸資産の範囲に含まれます。

細かな定義や範囲など法人税法および法人税法施行令では下記のように定められています。
興味のある方は確認してみてください。

 

棚卸資産 商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産で棚卸しをすべきものとして政令で定めるもの(有価証券及び第六十一条第一項(短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益)に規定する短期売買商品等を除く。)をいう。

法人税法第2条20号

 

法第二条第二十号 (棚卸資産の意義)に規定する政令で定める資産は、次に掲げる資産と する。

一 商品又は製品(副産物及び作業くずを含む。)
二 半製品
三 仕掛品(半成工事を含む。)
四 主要原材料
五 補助原材料
六 消耗品で貯蔵中のもの
七 前各号に掲げる資産に準ずるもの

法人税法施行令第10条

 

売上に直結するようなものは棚卸資産の範囲に含まれると理解できますが、範囲をよく確認すると、売上には直結しない消耗品などで決算時点では使っていないものも範囲には含まれています。

ただし、この消耗品については、別途取扱いが認められています。

 

法人税基本通達では…

棚卸資産の範囲である消耗品について、原則的には現実に消費したときに経費に計上することが求められますが、すべての消耗品などにこれを強制すれば事務負担が凄いことになります。

なので、一定のものについては、消費したときではなく、取得したときに経費計上を認めているんです。

要は、在庫(棚卸資産)計上を省略しても良いよというものを教えてくれています。

念のため、通達も載せておくので、気になる方はご確認ください。

以下、通達で挙げられる経費項目で具体的なものを例示していきたいと思います。

 

消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加)

(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。

法人税基本通達2-2-15

 

事務用消耗品

通達で挙げられる、事務用消耗品とは具体的にはどんなものがあるのか確認します。

一般的に事務用消耗品で経理処理されるのは、ノート、ボールペン、ホッチキス、クリップ、クリアファイル、トナーカートリッジなどでしょうか。

 

作業用消耗品

製造業をイメージすると作業用消耗品で経理処理されるのは、手袋、タオル、ブラシが一般的でしょうか。

さらに、使用可能期間が一年に満たないものと条件は付きますが、作業着(作業靴や帽子を含む)や工具なども含まれるでしょう。

また、ナットやボルトなど一般的には作業用消耗品には含まれないようなものでも、あくまで補修用の資材のような役割で、少額少量しか使わないようなものであればここに含めてOKです。

 

包装材料

商品や製品を梱包する紙や段ボール、ひも、シール、ガムテープなどが挙げられます。

ただし、ここは注意すべきところがあります。
商品や製品の最終形態を構成するようなものは在庫(棚卸資産)省略してはいけません。
具体的には、化粧箱や桐箱入りの商品や製品を製造したときの箱は在庫(棚卸資産)省略できないということです。
あくまで、搬送・運搬用の包装材料だけがOKと考えてください。

 

広告宣伝用印刷物や見本品など

ポスターやチラシ、カタログやパンフレットなどが広告宣伝用印刷物に該当します。他に、社名入りボールペンやクリアファイルなどもここに含まれます。

また、見本品はサンプル品など無償配布を前提にした試供品に限られますが、これも在庫(棚卸資産)省略OKです。

 

まとめ

在庫(棚卸資産)が与える影響と、そもそもの在庫(棚卸資産)を確認してきました。

在庫(棚卸資産)を誤魔化して利益調整するのではなく、自社の商売上、どこまでが棚卸資産なのか、省略できるものは含まれていないかを確認することで、節税が図れるかもしれませんし、税務調査のときに調査官によってはこの通達の存在を知らない方もいらっしゃいますので、普通のことのように指摘してくる方も中にはいます。

誰もが基本的なことほど確認を怠り、「何となく」で処理してしまうことが多いと思います。

節税のため、自社を不要な税務リスクから守る意味でも今一度、在庫(棚卸資産)を見直してみてはいかがでしょうか。

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