会社の税金

税務調査で従業員の横領が発覚しました…【税金はどうなるの!?】

2020年3月2日

今回は会社が従業員による、私的流用、不正、横領などによって、被害を受けた場合の税務についてまとめようと思います。

この仕事をしていると、意外と多いんですよね。
勤務していたとき、いくつかありました。

少し前の研修でもこのあたりの論点が出てきた際、講師の税理士の方も、税務調査で従業員の横領が発覚することは珍しくないと言っておられました。

改めて、自分だけが多く経験しているわけではないんやなと、変に安心しました。

さて、経営者のみなさん、会社の試算表を見ていて、こんなことを感じたことはありませんか?

 

なんかお金が減るのが早いな・・・

売掛金の回収が遅いな・・・

経費が少し多くなってきたような・・・

 

こんな場合には、まずは疑うよりも「なぜ?」を主眼に置いて、原因究明をしていみてはいかがでしょうか。

じゃあ、ちょっと調べてみよう…
っていっても、どこから、何を調べたら良いかわからず、こんな感じになりますよね。

 

調べるにも、どこを調べたら良いのかわからない・・・

参考までにどのような手口が多いの?

仮に横領があった場合、税金はどうなるの?

 

税務面での結論からいうと、従業員から横領の被害を受けた会社は、横領の事実を知らなかったとはいえ、隠ぺいや仮装による過少申告を指摘され、場合によっては重加算税の賦課や青色申告が取り消されたりします。

理不尽ですよね。

でも、実際の判例では、このようになっていることが多いんです。
なので、不正をされない経理処理の制度やしくみを考えないといけないのかもしれません。

 

従業員がおこなう不正や横領とは?

経験上、従業員による横領の手口はとても単純であることが多いんです。

なので、調べようと思うと、意外とすぐに見つかるケースが多いように思います。

今回紹介するのは、あくまでこういったことが多いですといった事例です。
決して、こういう人が怪しいとか、この言動は疑ってくださいとか、徹底して調べてくださいとかいうものではありません。

不正を未然に防ぐ意味でも、いくつかの事例から、普段の経理処理を見直すきっかけになればという視点で書いていますので、変な疑いをかけたり、悪用はしないよう十分注意してください!

 

プライベートの領収書などを利用して…

この場合、金額が少額であることが多いですが、塵も積もれば…です。

プライベートでの領収書や、買ってきた、貰ってきた領収書などを使って経費の精算をするパターンですね。

少額であり、普段から社長の決済や報告が必要でないものであることから、容易におこなえる横領行為といえるでしょう。

程度加減にもよりますが、税務調査では少額の領収書などの確認まではおこないませんので、社内で気付かない限り、発覚しにくい横領行為なのかもしれません。

 

現金回収した売上やリベートを・・・

現在では現金回収の売上がそれほどなく、あったとしても金額が少額でしょうから、少なくなっている手口といえます。

しかし、請求書や現金回収、受領書の発行までのすべてを担当者一人に任せていると、やろうと思えばできる横領行為ですよね。

例えば、売上の事実を会社に報告せず、得意先には現金回収した売上の領収書さえ渡しておけば、横領行為がおこなえますよね。

また、逆に多いかもしれないリベートの問題。
取引先は便宜を図ってほしいため、あの手この手で担当の方にリベートを渡そうとします。
社内ではリベートなどの受領は禁止としていても、従業員が会社に内緒で受け取っていれば、横領になり、その収入の帰属先が問題になります。
この収入の帰属先が税務では問題になるので、このへんは後述しますが、横領や不正は、いまある会社財産だけではなく、収入として入るべきものが入ってこないというケースもあり得るんです。

 

経費を水増しして・・・

むかしから多い手口ですよね。

例えば取引業者に通常100万円の請求のところ、120万円で請求書発行してもらい、会社から120万円の振込があった後、取引業者に20万円をバックさせるという手口。
取引業者も便宜を図ってほしい、少しのお小遣い稼ぎができるので協力するという感じでしょうか。

通常の経費ではこの手口は難しいかもしれませんが、建築工事や内装工事など建築部材で水増しなんかされると、発覚は難しいのではないでしょうか。

この場合、被害を受けている会社では、金額も大きく、見つけにくいという特徴がありますが、唯一、税務調査の反面調査(相手方ではどのような処理がされているかの確認)で発覚することがあります。

 

架空の会社や取引先を設立して・・・

これは一見、手の込んだやり方のようですが、比較的容易に見抜けるのではないでしょうか。

架空の会社や、個人事業主の設立をして、そこに仕事を発注するというもの。
実際に仕事を発注するので、業種も限られるのではないでしょうか。

簡単に見抜ける理由としては、数値が異常になるからです。

実際に仕事を発注してお金を支払う以上、それに対応する売上が必ずあるはずです。売上がいつまでも計上されないと、原価率が異常な数値になるので、遅くても決算時に判明しますし、原価管理が出来ていれば簡単にわかります。

裏を返せば、毎年の原価率がアテにならない、原価管理ができていない会社なんかは横領がしやすいのかもしれませんね。

 

税務調査で横領が発覚した場合、税金はどうなるの?

まず、税務調査で横領が発覚して問題になるのは、隠ぺい・仮装行為による過少申告でしょう。
勘違いされる方もいらっしゃいますが、税務署は警察ではありませんので、不正や横領があったとしても、問題視するのは申告所得であり、犯人探しや、罪の裁きにはあまり興味がありません。

例えば取引業者から受け取ったリベートを従業員が会社に報告しなかった場合には、会社の売上漏れ(リベートという雑収入の計上漏れ)によって申告所得が少なくなっていたということ。

ただ、この点について、リベートという収益の帰属先が問題になります。
その収益は会社に帰属するのか、従業員に帰属するのかという問題です。

判例での帰属先の判断基準は下記のとおりです。

 

ポイント

リベートを受領した者の地位や権限はどうなっていたか

取引の内容、会社の実態、相手方の認識はどうだったのか

 

帰属先が会社になるのか、従業員になるのかで大きな違いがあります。

 

会社に帰属すると判断された場合

要するに、リベートを受けていた人が会社の主要なポジションについていて、社内規定でも特にリベートの受領は禁止していなければ、その収益は会社に帰属するものと判断される可能性が高いでしょう。

会社に収益が帰属した場合のペナルティとしては、過少申告加算税(場合によっては重加算税)の賦課や、青色申告の承認の取り消しという扱いになってしまうかもしれません。

これとは別に、会社は当然に従業員への損害賠償請求権を有しますが、たとえそれを行使したとしても回収が見込めないことが多いでしょう。
この場合、できるなら、その収益が会社には帰属しない旨、主張する方が良いかもしれません。

 

従業員に帰属すると判断された場合

会社としての管理者責任が問われることがあっても、特にこれといった税務上のペナルティはないのではないでしょうか。

社内規定ではリベートの受領は禁止にしておくことや、代表者含め、社内の人間は誰も不正行為の事実を知らなかった、決して組織ぐるみではない旨、アピールできなければなりません。

例えば、いくら社内規定を設けていたとしても、不正をおこなった者が代表者であったり、役員や主要なポジションにいる者であれば、組織ぐるみや管理者責任を問われ、その収益は会社に帰属すると判断される可能性が高くなります。

 

まとめ

経費の使い込みや、経費の水増し請求については、会社が水増し分の経費はなかったものとして修正申告するので、帰属先どうこうという話はありません。

修正申告後、不正を働いた従業員へ損害賠償請求をするということになるでしょう。

いずれにしても後味の悪い話なので、できれば未然に防げるような組織体制を整える方が良いのかなと思います。
ずさんな経理をしていると、こういった被害にも遭いやすいと考えられますし、最悪、被害に遭っていることすら気付かないことも考えられます。

経理はやはりちゃんとしておく方が良いのかなと思いますね。

 

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