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消費税の経理処理の方法【税抜経理と税込経理の違いは何だろう?】

2019年11月14日

 

今回は法人の消費税に関する経理処理について。

消費税の経理処理には『税抜経理』と『税込経理』の二つの経理方式があり、どちらの方式によるべきか法人税法上規定があるわけではありません。

ですので、どちらの方式を選択するかは法人の任意ということになります。

ただし、消費税を納める義務がない免税事業者については、税込経理方式しか使えません。

 

税抜経理と税込経理の違いはこのような感じです。

 

税抜経理

  • 消費税が会社の損益に影響しないため、整合性があるが税抜計算に手間がかかる場合がある。
  • 売上分の消費税は仮受消費税となる。
  • 仕入分の消費税は仮払消費税となる。
  • 経費分の消費税は仮払消費税となる。
  • 納付(還付)税額は仮受消費税と仮払消費税の差額となる。

 

税込経理

  • 消費税が会社の損益に影響するが、税抜計算の手間がかからないため、簡単である。
  • 売上分の消費税は収益に含めて計上する。
  • 仕入分の消費税は仕入、資産の取得価額に含めて計上する。
  • 経費分の消費税は経費に含めて計上する。
  • 納付(還付)税額は租税公課(経費)か雑収入(収益)になる。

 

法人が選択した経理方式はすべての取引で継続適用するのが原則ですが、法人税の個別通達では、売上と経費を税抜経理方式で処理していれば、固定資産や繰延資産、棚卸資産は税込経理での処理も認められています。

このような区分適用は面倒なのでしないと思いますが、選択は可能です。

 

今回は法人が税抜経理方式、税込経理方式によった場合の実務での取り扱いを解説したいと思います。

 

途中で経理方式の変更はOK?

OKです。

経理方式の選択に法人税法上規定がないため基本的には問題ありません。

ただし、規定がないといっても「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に従って処理することが求められており、同基準では継続性の原則というものがあります。

よって、事業年度ごとにコロコロ変える場合は問題ありです。

 

例えば国内で仕入加工をして海外へ輸出する商売をしている場合、国内での仕入加工には消費税がかかりますが、海外への輸出は消費税が免除されます。

よって、どちらの経理方式を採用しても還付される消費税や最終利益は基本的に変わりません。(税抜経理方式の還付される消費税は、仮受消費税と仮払消費税の差額50,000円が、未収入金として貸借対照表に表示されるため、損益には影響しません。)

 

税抜経理

売上 1,000,000
仕入 ▲500,000
利益 500,000

 

税込経理

売上 1,000,000
仕入 ▲550,000
雑収入 50,000
利益 500,000

 

消費税の計上時期

税込経理を採用した場合、消費税は経費または収益になります。

そして、この消費税の計上時期については、原則的には申告書を提出した事業年度(翌期)に計上することとなりますが、未収入金として収益計上した場合は、その事業年度(当期)に計上することができます。

 

例えば、税抜経理から税込経理への経理方式の変更初年度で、雑収入50,000円の計上時期を翌期とした場合、利益を50,000円繰り延べられます。

この場合は50,000円でも、実務では数百万、数千万の事例がほとんどですので、初年度だけ、たった1年の税金の繰延べですが、資金繰りに与える影響は相当なもので、効果は大きいものです。

 

取得価額等の金額判定

結論をいうと、すべて経理方式に応じた金額判定となります。

 

少額の減価償却資産などについて

法人税法上、10万円未満の減価償却資産は、使った事業年度で全額経費にできます。

また、10万円を超え、20万円未満のものは、まとめて3年間で経費にできます。

さらに中小企業者である青色申告法人に限り、30万円未満の減価償却資産は、1年あたり300万円まで全額経費にできます。

 

これらの金額すべて、会社が採用した経理方式により判定しますので、税込経理を採用していながら、都合よく税抜金額で判定することはできません。

 

寄付金の金額判定についても同様

税務上の寄付金の取り扱いについては、また別の記事でまとめますが、経費にできる金額に制限が設けられています。

また、法人税法上、寄付金の範囲はかなり広いと理解しておいてください。

言葉のイメージとしては、何の見返りも期待せずにお金を払うことですが、税法は違います。例えばこんな感じ。

 

税金の世界の寄付金の範囲

  • 固定資産を贈与する
  • タダでサービスを提供する
  • 通常より安く売る
  • 通常より安くサービスを提供する

 

もちろんこれに該当すればすべて寄付金になるわけではなく、相手や程度加減により、広告宣伝費や福利厚生費、交際費などになることもあります。

 

お金以外での寄付金についても、経理方式に応じた金額での計上が求められます。例えば固定資産を贈与した場合、その贈与した時の固定資産の時価が寄付金になりますが、その時価も税込経理方式を採用していれば、税込金額で計上しなければいけません。

 

おすすめする経理方式は?

おすすめするつもりはありませんが、実務的に多いのは税抜経理です。
理由としては消費税を売上や経費に含めてしまうと数字が読みにくくなるためです。

一方、資金繰りは、お金が入る、お金が出るという目線ですので、財務上は税込経理で考えます。

今は、会計ソフトが優秀なので、税込試算表と税抜試算表がボタン一つで作成できますので、経営者自身が理解しやすい経理方式をおすすめします。

 

まとめ

今回解説した以外に、交際費や消費税の計算上発生することがある、控除できない仕入分の消費税に関する取り扱いは後日まとめます。

たまにどちらの経理方式が得?と聞かれることがありますが、税務上は一長一短なので、正直こっちの方が絶対得ですとは言い切れません。
ですが、税務の面で経理方式を選ぶより、経営目線で数字を読みやすい、正確な経営判断がしやすい方を採用するべきかなと思います。

この場合の数字が読みやすい、経営判断がしやすいというのは、業種や個人的な好みで良いと思っています。
税抜経理が多いからといって、「じゃあ、うちもそうしよか。」で選ぶ必要は全くありません。税込経理の方がわかりやすい、数字を理解しやすい場合はそちらを選ぶべきです。

 

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