正月に実家で食べたしゃぶしゃぶ。
歳ですね。この霜降り肉を見ただけで少しお腹が満たされ、10代、20代ほど量が食べれませんでした笑
でもめちゃくちゃ美味しかったです。
写真を使う機会がなかったので無理やり入れてみました。
さて、本題。
実務をしている方からすると当たり前な話ですが、固定資産の売買取引などがあったときは、引渡基準を原則として収益に計上したり、固定資産として資産登録します。
ちなみに土地・建物などに該当する資産について、契約効力発生日基準というのも認められていますが、これは、一般的には契約を締結した日をイメージするので、引渡し日より早くなります。
なので、例えば決算間際で簿価1億円の土地を8,000万円で売却する契約をして、引渡しが翌事業年度になった場合、2,000万円の譲渡損は早く計上したいですよね。
そんな時使える収益計上基準がこれですね。
意図的にではありませんが、原則的な取扱いと特例的な取扱い両方理解しておくと、収益計上を遅らせたり、逆に早くできたりします。
今回はこの辺りをまとめていきたいと思います。
固定資産の譲渡益の計上時期
固定資産の譲渡については、原則的には引渡基準、特例的には契約の効力が発生した日とする旨、法人税基本通達2-1-14で確認できます。
固定資産の譲渡に係る収益の額は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、その固定資産が土地、建物その他これらに類する資産である場合において、法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日において収益計上を行っているときは、当該効力発生の日は、その引渡しの日に近接する日に該当するものとして、法第22条の2第2項《収益の額》の規定を適用する。(昭55年直法2-8「六」、平30年課法2-8「二」により改正)
法人税基本通達2-1-14「固定資産の譲渡に係る収益の帰属の時期」
譲渡の範囲
冒頭から当たり前に使っていますが、「譲渡」って一般的には売買だけですよね。
でも、税法ではもっと意味合いが広く使われています。
例えば、交換や贈与、国や地方公共団体が道路などの拡張で土地収用法などに基づいておこなう収用、現物出資なんかも含まれるんです。
イメージ的には所有権が移転する取引は、税務的にはすべて「譲渡」と理解してもらって良いと思います。
話が少しズレますが、所有権の移転って不動産であれば、登記すればOKという認識があります。
ですが、税務的に登記だけで所有権の移転があったとは考えません。参考にするぐらいです。登記という行為は、第三者に対する対抗要件が与えられる程度だからです。
なので、子供に土地を贈与して登記をしたからといって、税務的には贈与が成立しているとはいえないので、贈与契約書を必ず作っておきましょう。
そもそも固定資産って?
固定資産は、棚卸資産、有価証券、繰延資産以外の資産で、土地(借地権などの土地の上に存する権利を含む)や減価償却資産などをいいます。
棚卸資産は除かれるので、土地や建物の売買をおこなう不動産業の方については、商品として扱う不動産は棚卸資産に該当し、固定資産には含みません。
ただし、不動産業といっても自社で使用する土地や建物は固定資産に該当します。
また、固定資産には、有形のものだけではなく営業権や特許権など無形のものも存在します。
引渡し日って具体的にはいつ?
引渡し日については、税務的にここを注意ということは特にありません。
譲渡のあったモノを占有(実際に使用、管理、支配ができること)できるようになった日を引渡し日とみます。
具体的には、建物だったら鍵を受取った日とか、機械なら設置、試運転で問題なく使えることになった日でしょうか。
土地(借地権などの土地の上に存する権利を含む)について、引渡し日がわからない場合は、代金の50%以上を受取った日か登記申請のどちらか早い日になります。
ほとんどの不動産の売買契約書では、契約時に手付金10%、残りを引渡し日となっているので、実務的には残りの代金を受け取った日を収益計上日とします。
では、いつ譲渡して計上するのが良いのか
一言でいうと、その事業年度の会社の利益状態と、翌事業年度の税制や法人税や消費税などの税率がどうなるかをチェックしてみることが良いのではないかと思います。
税率については昨年、10月からの消費税増税時期なんか、正しくそうですよね。また、少しですが法人税率についても、ここ最近は2~3年に一度ぐらいの頻度で下がったりもしてます。
どうせ同じ税金がかかるなら、少しでも税率が低いタイミングで譲渡するのが良いですよね。
あとは、固定資産のなかでも不動産については、税制上の優遇規定も色々あったりします。優遇規定は租税特別措置法といって期間限定のものもあるので、このあたりの譲渡時期というのもチェックするべきです。
このあたりは関与されている税理士さんに確認した方が良いでしょう。
譲渡損益に思わぬ落とし穴がある場合
また、事前に税理士さんに確認しておいた方が良いのが、譲渡損益について。
帳簿価額だけで含み損のある固定資産だと思い込むのは危険です。
特に、永く事業活動をしている会社ほど、所有している固定資産には色々あります。
具体的には、会計上の帳簿価額と税務上の帳簿価額が一致していない場合。
例えば、かなり昔に土地の買換えなどで発生した利益をその時には課税せず、買換え資産である土地の帳簿価額と相殺する圧縮記帳なんかしていると、記帳方法によっては会計上の帳簿価額と税務上の帳簿価額がズレることになり、このズレは譲渡したときに解消されることになります。
なので、譲渡損の計上を狙ったのに、うっかり税務上の帳簿価額の存在を忘れていて結果的に譲渡益となってしまったという場合もあります。
まとめ
消費税の増税があったときなんかはわかりやすく譲渡の時期や収益の計上時期が判断しやすいですよね。
でも、上記のとおり不動産の税制については色々あって、ちょうど10年前に期間限定で土地の取得を促す税制がありました。
その制度は、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に土地を買えば、それから10年間に生じた固定資産の譲渡益は、その取得した土地の帳簿価額から差引くことができるという制度。
不動産業の方は結構利用した方は多いのではないでしょうか。
ただ、注意が必要なのは、その買った土地を手放した時にはまとめて課税されるという点。その間に代替わり、税理士替わりが起こっていて詳しく事情を知っていないとえらい目にあいそうですが…
いずれにしても、不動産についてはこんな税制もあったりするので、譲渡前には税理士さんにご相談することをおすすめします。