会社の税金

役員にも賞与(ボーナス)を!!【事前確定届出給与を利用しましょう】

2019年12月24日

すでに会社を経営されている方の多くは、「役員の給与は一度決めたら変更できへんやん」とか、「たとえ変更できてもたいそうな理由が要るやん」など、ご自身の受け取る給与である、役員報酬について一定の制限があるということは理解されています。

基本は、そのとおりなんです。

誰でも節税って考えると、まずは自分の給与を上げたいと思います。
そこで関与している税理士さんに相談するも、意味がないと言われ、その理由を知るという感じでしょう。

 

ただ、なぜかあまり知られていない、役員にも賞与を支給できる「事前確定届出給与」という制度があります。

わたしが勤務していた時、役員に賞与を支給していながら、この制度を知らない方がいらっしゃいました。(前任者が伝えていなかったのか、伝えたけど、お客様が忘れているのか、言った言わないの世界なので本当のところ分かりませんが・・・)

 

ただ、知らない方が多い理由として考えられることがあります。

会社法施行前(会社法が平成18年5月1日施行なので、13年前ぐらいでしょうか)「役員賞与」は経費扱いではありませんでした。
会計処理方法としては未処分利益の減少、要するに蓄積した利益(お金)が出ていくだけで、経費にはならなかったんです。

それを、関与していた税理士さんから聞いていた会社法施行以前からの経営者の方は、「役員賞与は支給したらあかんもん(節税には意味がない)」ままの状態になっている可能性が考えられます。

役員賞与を支給していながら、事前確定届出給与の制度を知らなかった方にも最初、「えっ!役員賞与は経費にできへんやろ!?」との反応でしたし、目線が「兄ちゃんの知識大丈夫か?」ぐらいに感じた記憶があります笑

今回はボーナスのシーズンは少し過ぎてしまいましたが、役員にも賞与を支給できる「事前確定届出給与」という制度についてまとめたいと思います。

 

事前確定届出給与とは

事前確定届出給与とは、所定の時期に、確定した金額を、定めに基づいて支給する給与をいいます。
この所定の時期と確定した金額は、税務署に届け出し、そのとおりに支給しなければ経費にはできません。

簡単にまとめると、「いつ」、「誰に」、「どれだけ」賞与を支給しますという届け出を税務署にして、そのとおりにしなければアウトということです。

 

所定の時期(いつ)について

いつ支給するのか、「まだ決まっていませんが、夏と冬あたりに支給します。」ではダメです。

日付を具体的に書かなければいけません。

例えば、届出では12月1日としたが、いざ支給しようとした場合、金融機関が土曜日休みで、12月3日支給となってしまった。

この日付のズレが発生した場合はどうなるのか。

資金繰りが苦しくて払えるときに払いましたでは問題ありですが、この程度の支給日ズレであれば問題ないと考えられます。(このあたりは法律で決まっていないので、見解は税理士さんによって色々です。個人的には所定の日ではなく、「所定の時期」なので、程度加減はありますが、やむを得ない事情によっては問題視されないと思っています。)

ただ、うっかり土日を支給日として届け出してしまった場合は、会計処理で「未払金」としましょう。

会計処理の例

12/1…役員賞与 ××× / 未払金 ×××

12/3…未払金 ××× / キャッシュ ×××

ただし・・・

支払日のズレという話ではありませんが、未払金処理について、何でもかんでもOKというわけではありません。
払えない金額を届け出した場合は注意です。

事前確定届出給与での役員賞与でも、基本的には債務が確定していれば他の費用と同様の取扱いで良いですが、本来の役員賞与とは職務執行の対価であるはずなので、未払金処理を前提とした支給額の決定はおかしくないか?ってことです。

払うのに困るぐらいの賞与ってどうなん?って指摘を受ける可能性が高いです。

 

誰に

何度も書いているとおり役員です。

それも法人税法上の「役員」です。

法人税法上の役員は、一般的な定義より範囲が少し広がります。
一般的な取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事および清算人に加え、これらの役員ではないが使用人でもない、会長や顧問、相談役などの名誉職で経営に従事している方は役員(みなし役員)に該当します。

また、同族会社の「みなし役員」には注意が必要です。

中小企業の多くは、「株主=経営者」なので、同族会社に該当します。
例えば、その経営者の息子や奥さんが従業員として働いていても、経営に従事していれば役員(みなし役員)に該当します。

「経営に従事」って、実は、曖昧な部分もあって、裁判になることも多く、事実認定(個々の状況に応じて判定)の世界で、これといった基準はありません。
ただし、下記のような要件が挙げられます。

経営に従事の判定

  • 取締役会等に出席して経営に関する重要案件の決定に参画しているか
  • 社員の採用、人事、給与に関する権限を有しているか
  • 主要な取引先の選定と契約に関する決定権を有しているか
  • 金融機関の選択や契約に関する決定権を有しているか

経理である奥さんに賞与を支給していて、奥さんが、経理以外に人事や資金繰りの権限を有していると、場合によっては「役員」の認定を受けることも考えられます。

 

確定した金額(どれだけ)

基本的に払えるのであれば、どれだけ支給しても自由ですが、極端過ぎるのは税務署から、「職務内容、経営状態、同業他社に比べると高すぎない?」と、もの言いが入ります。

次に問題になるのが、実際届け出た金額が100万円でありながら、お金がなくて50万円しか支給できなかったという支給金額のズレが出た場合。

この場合、支給した50万円は役員賞与として経費が認められると考える方がいらっしゃいますが、答えはゼロです。支給した50万円は経費にできません。
逆に余分に支給した場合も当然に全額経費にできません。

なら、お金がない、業績が思ったほど伸びなかった場合は、支給しなかったら良いんです。

本来は利益操作の禁止を目的にしているため、金額を届出どおり支給することが前提ですが、ゼロ円支給でも、一部支給でも、超過支給でも結果は変わりありません。

それやったら、届け出だけしておくことも良くないですか?

結果的に利益操作に使えてしまうので、大きな声では言えませんが・・・

 

必要な手続き

下記、国税庁HPより「事前確定届出給与に関する届出書」と「付表1」を期限までに提出すればOKです。

期限は、通常、事業年度開始から3ヶ月以内に株主総会などが開かれ、そこで役員人事や報酬などが決定されますので、その決定日から1ヶ月後までに税務署へ届け出ます。

ただ、事業年度開始から4ヶ月までの最終期限があるので、どちらか早い日までに提出しましょう。

図で示すとこんな感じです。

まとめ

事前確定届出給与の制度、ちょっと良くないですか?

届出が必要なので少し面倒ですが、出すだけで役員にも従業員と同じように賞与を支給できます。
事業年度の始まりに「自分にいくらの賞与を出す」と決めて、それに向かって頑張っていくのも有りなんです。

頑張りが足りなかったらゼロ円支給にしたら良いんですから。

制度として認められているので、どんどん利用しましょう。

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