銀行融資

資金調達にはある程度、「時間」がかかります

2019年11月20日

今回は資金調達にかかる「時間」について解説していこうと思います。

ちなみに、この「時間」には、二つの意味が含まれています。

一つは融資手続きの審査にかかる時間です。
ノンバンクでは数日程度、民間の金融機関では一週間程度、日本政策金融公庫では一ヶ月弱ぐらい融資の審査に時間がかかるという意味の時間です。

もう一つは、借りる側が準備する時間です。
この準備する時間というのは、融資を受けるための書類を作成する時間だけではなく、準備期間といった長い目での時間です。

一つ目は相手の「時間」ですので、借りる側ではどうしようもありません。
利用する融資制度に応じて、ある程度の融資審査に要する時間は覚悟しましょう。

もう一つの時間については、借りる側でどうにかできることです。
しかし、この準備には結構時間がかかります。長期戦になります。

今回は、借りる側が準備すべきことについて解説したいと思います。

 

借りやすい決算書をつくる(整える、デザインする)

「粉飾しましょう。」という話ではありません笑

財務目線からの決算書を作成しましょうということです。
簡単にいうと、ごまかしなどなく、透明性のある、誰でも理解ができる決算書です。

気持ちいいぐらいのキレイごとですが、これしか方法はないんです。

 

例えば、BS(貸借対照表)の一番初めに出てくる「現金」はちゃんと管理できていますか?

個人の財布と会社の財布はキチンと分けていますか?
預金から引き出した金額は必ずわかります。でも、使った金額は管理できていないことが多いため、帳簿上の「現金」が膨らみがちです。

どういうことかよくわからない方は、下記を確認してみてください。
個人の財布と会社の財布が管理できていないと、4つのステップでこんな事が起こります。

 

帳簿上の現金が膨らむ手順

step
1
会社の預金口座から10万円を引き出す

step
2
会社では、小口現金+10万円、預金▲10万円になる

step
3
10万円のうち8万円分の領収書はあるが、2万円は覚えていない・・・

step
4
経費+8万円、小口現金▲8万円となり、帳簿上は小口現金2万円が残る

 

これを繰り返すと、数十万、数百万はあっという間です。ほんとうに多いです。

こういった場合、実務的には役員借入金と相殺しますが、出来ない場合(役員借入金がない場合)、そのまま残しておくか、仮払金として経費の精算待ちとしか決算処理できません。

そのまま「現金」を残して金融機関へ決算書を提出すれば、当然、「現金ありますやん。」と言われますし、数百万の仮払金が決算書にあれば、当然内容を確認されます。

中小企業ではこの手の決算書は割と多いので、いずれの処理によっても金融機関は、「いつものずさんな会社やなと」察します。

結果、金額の程度加減にもよりますが、融資希望額に満たなかったり、金利が上がったり、最悪、貸せないという結論に至ります。

そうならないために、日常から公私混同しない経理処理は最低限必要です。
税務上は税金を納めれば済むことでも、財務上はそうなりません。

そういう意味で借りやすい決算書をつくる(整える、デザインする)ことは「時間」がかかります。

 

また、財務基盤の弱い中小企業こそ、財務目線での透明性のある決算書を意識するべきです。財務目線で作成された決算書は税務上も問題ない決算書のはずです。

 

融資を受けて返済実績をつくる

いきなり大口の融資を受けることは難しいと考えておいてください。
小口の融資からスタートし、こつこつと返済実績を作り、信頼を築き上げる「時間」が必要です。

 

大口の融資を希望する方も、最初は小口の融資から始めるしかありません。

また、初めての融資では、希望額に満たないことは全く珍しくありません。むしろ、金融機関からすると、「なぜ、この業種、業態でこれだけの運転資金が必要なんだ?」、「なぜ、初めての起業でこれだけの設備投資をするのか」など、あなたのことを知らない、信頼関係がない状態では、どれだけ頑張って立派な資料を作成しても借りられる金額はほぼ決まっています。

返済実績を重ねていけば、一回目より、二回目、二回目より三回目と、融資希望額を聞いてくれるようになります。

金融機関との信頼関係を築くための「時間」も重要となります。

 

質疑応答を想定しておく

すでに金融機関から融資を受けている場合は、担当者がついていることでしょう。
また、これから創業しようという方にも、金融機関へ融資を申し込めば、通常は融資担当者が話を聞いてくれることになります。

このときに決算書や事業計画書、資金繰り表など準備した作成書類について、また、資金使途や事業内容、オペレーションなど業務に関することだけではなく、経歴やご家族の収入の有無など、プライベートなことまでかなり突っ込んで聞かれます。

これは意味もなく聞いているわけではないので、「ほっといてくれや」では済みません。
なぜ、突っ込んだことまで質問してくるのかというと、融資担当者は決裁の権限を持つ上司へ状況を細かく説明する必要があるためです。

ですので、融資担当者が上司へ説明しやすい「材料」をあらかじめ準備しておきましょう。この材料は有利なことばかりではなく、不利になることも包み隠さず提供するべきです。

隠したところで必ず発覚するか、審査過程で後日、質問を受けるはずです。これでは余分な「時間」を過ごしてしまいます。

 

まとめ

資金調達についての「時間」について解説しました。
今回は「時間」でも、主に借りる側で、あらかじめコントロールできる時間にスポットを当てました。

この「時間」は借りる側の取り組み方次第でどうにでも変化する時間です。直前になって、「早くしてくれないと資金が底をつきそう」との理屈は金融機関には通用しません。

是非、この「時間」を意識して、財務戦略を考えてみてください。

-銀行融資

© 2021 松澤税理士事務所