金融機関が「貸そうかな」、「話を聞いてみようかな」という判断基準はあります。
具体的には以下の基準です。
銀行融資の判断基準
- 簡易キャッシュフローはいくらか
- 実態債務超過になっていないか
- 債務償還年数に無理はないか
各基準の計算方法など詳細は以前のブログを参考にしてみてください。
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銀行が確認する決算書の3つのポイント【銀行が決算書から読み取る返済能力とは?】
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この3つの判断基準は、すべてクリアできれば何も問題ありませんが、「これはクリアできたけど、これはあかんかった」、「これしかクリアできてない」などパターンは様々だと思います。
今回は、色々なパターンについて解説したいと思います。
銀行融資が受けられるか否かの判断基準
金融機関が融資をおこなう際に3つのポイントを確認しますが、3つに共通する趣旨は、儲かっているかではなく、返してもらえるか。
たまに勘違いされている方もいらっしゃいますが、融資に際しては、儲かっているかどうかより、返してもらえるかがポイントです。
返してもらえるかどうかの判断要素として、利益が注目されていることは間違いありませんが、赤字=融資不可というものではありません。
しかし、3つのポイントの中に金融機関がどうしても譲れないポイントがあります。
これも、3つのポイントの趣旨を考えると自ずと見えてくるのかもしれません。
すべてクリアした場合
返済の原資となる簡易キャッシュフローが確認でき、実態決算書で資産>負債という状態であり、かつ、有利子負債(借入金)を10年以内に返済できる場合が、すべてクリアしたといえます。
すべてクリアできると、審査が最も厳しいプロパー融資の要件を満たしていますので、新規の借入は十分に期待できると考えて良いでしょう。
実態債務超過または債務償還年数がクリアできなかった場合
いずれの場合も返済の原資となる簡易キャッシュフローは確保できているという状態ですよね。
例えば、実態債務超過だけクリアできなかった場合は、いつ債務超過に陥ったのかがポイントになります。
債務超過に陥ったのがかなり昔の状態だと、金融機関は下記のように数字を読み取ってくれるはずです。
step
1過去しんどい時期があって、その時の借入で債務超過になっているのかな?
step
2返済の原資はあり、債務償還年数にも無理がないな・・・
step
3このままいけば債務超過状態も解消されるだろう・・・
この場合、過去にどういった事情で債務超過になったのか聞かれると思いますが、ちゃんと回答すれば、期待に応えてくれるはずです。
また、債務償還年数だけクリアできなかった場合も同様で、返済の原資である簡易キャッシュフローが確保できていれば、ほかのクリアできなかったポイントが解消されるのは時間の問題かなと判断してくれます。
ただし、プロパー融資は少し難しいと考えられますので、日本政策金融公庫か保証協会の保証付き融資を検討する方が良いでしょう。
簡易キャッシュフローがクリアできなかった場合
簡易キャッシュフローがクリアできなかった場合は、返済の原資がないという状態です。
それはつまり、必然的に債務償還年数もクリアできていないといえますので、かなり厳しい状況です。
しかし、返済の原資である簡易キャッシュフローがクリアできなかった場合でも、実態債務超過になっていなければ融資を受けられる可能性はあります。
試算表など足元の状態を確認してみましょう。
少しでも良い情報があれば積極的に説明することにより、日本政策金融公庫か保証協会の保証付き融資を受けられる可能性が出てきます。
すべてクリアできなかった場合
すべてクリアできなかったから借入が絶対にできないということではありませんが、かなり厳しい状況です。
「直近の試算表では改善している」、「決算後、新規の受注ができた」、「経費(固定費)のリストラにより簡易キャッシュフローが確保できた」など明るい材料があり、かつ不動産担保や個人保証により融資を受けられるかもしれません。
なかでも経費(固定費)のリストラは重要です。
すべてクリアできなかったということは、恒常的に赤字が続いていた、キャッシュが回っていなかった状態が数年続いていたという結果です。
金融機関からすると、「こうなる前になぜ早く手を打たなかったの?」となります。
まとめ
以前のブログでも書きましたが、やはり最も重要な判断基準は、簡易キャッシュフローが確保されているかでしょう。
大事なのは、売上を上げることではありません。利益を残すことです。また、早めに手を打つことです。
売上の減少は仕方ないにしても、売上が減少したのであれば、経費(固定費)もその都度見直すべきでしょう。
売上を上げる労力と経費を減らす労力を比べると、どちらを優先すべきか明らかでしょう。
戦略(長期的な目標)として売上を上げる方法を実践し、戦術(目標達成のための目先の手法)として、まず経費(固定費)の見直しをするべきでしょう。
その結果、借入可能性の3つの判断基準をクリアできている状態が維持できると考えます。