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グループ会社の資金調達【押さえておきたい金融機関への4つの説明ポイント】

2019年12月5日

ある金融機関の融資担当者と飲んでいたときに聞いた話ですが、融資担当者は一般的にグループ会社を持つ企業への融資は、できれば担当したくないとのこと。

理由を尋ねると、単純に面倒、手間がかかるから

グループ会社でも、全くの別事業をお金の貸し借りも取引もなく経営していれば問題ありませんが、ほとんどの場合、何かしらの取引があります。
その場合、融資を希望する会社だけではなく、関連するグループ会社とその全体が審査対象になるため、数倍の手間がかかることが原因です。

おそらく、金融機関はそう考えていなくても、現場レベルの方からは敬遠される仕事なのかなという感じです。

 

我々の税務でも、一定規模の大きな会社に完全支配されている会社は、税金を計算する上での優遇措置は受けさせない制度が法人税にはあります。
さらに、そのグループ会社の範囲と優遇措置は、法人税法と租税特別措置法と法律によって異なります。

また、10年近く前からグループ法人税制といって、100%の資本関係を有するグループ会社間での資産の譲渡や配当、寄付などは、税金を計算する上では収益にも経費にもしないというルールもできました。

それだけでも面倒なのに、消費税の納税義務判定にも一部その考えが入ってきたりしているので、金融機関の融資担当者ではないですが、我々にとってもグループ会社は結構厄介なんです。

むかしは関与している社長から、もう一社会社を作ろうと思うんだけどと相談を受けた時は、単純に2倍の報酬で良かったね、ラッキーという感じでしたが、いまは、逆に2倍の報酬では足りないぐらいの労力が必要になってきました。

 

話を戻します。

融資担当者は一般的にグループ会社を持つ企業への融資は、できれば担当したくないと考えているということは、グループ会社を持つ企業の資金調達は、時と場合によっては不利になっているかもしれません。

金融機関の融資担当者も人です。面倒なことは避けたいと考えるでしょう。

しかし、逆に考えると金融機関の融資担当者が手間だと思っていることを、事前にこちらで用意、説明できれば融資に協力的になってくれることでしょう。

 

そこで今回は金融機関の融資担当者が、グループ会社の融資を担当した時に手間をかけずに知りたいと思っていることを4つ解説していきたいと思います。

 

融資担当者が手っ取り早く知りたい4つのポイント

金融機関の融資担当者が、グループ会社の融資を担当した時に手間をかけずに知りたいと思っていること4つは、下記のとおりです。

融資担当者が知りたいポイント

  • グループ会社全体で利益は出ているか
  • グループ会社全体で債務超過に陥っていないか
  • グループ会社間で経済合理性のない取引などおこなっていないか
  • グループ会社間でのお金の貸し借りをしていないか

以下、一つずつ確認していきたいと思います。

 

グループ会社全体で利益は出ているか

単体企業の場合、利益が出るような操作はなかなかできません。

古典的な手法のため、金融機関も見抜いていることが多いのに、未だに中小企業では、棚卸資産を水増しする粉飾決算をしているところをたまに見かけます笑

しかし、グループ会社の場合は、3つ目のポイントとも重なりますが、実態や経済合理性のない取引を、あたかも実態があるように装って利益を出すことが可能です。

例えば、金融機関からの融資を考えている直近の決算で、融資対象会社が赤字にならないような商取引をおこなえば簡単に赤字を消すことが可能です。
しかし、この取引をすると、相手方のグループに何らかの不利益が生じているはずなので、グループ会社全体で利益を確認する必要があるということです。

グループ会社で利益が出ていることを証明するために、多少手間はかかりますが、グループ会社合算の損益計算書を作成するようにしましょう。

 

グループ会社全体で債務超過に陥っていないか

グループ会社を持つ企業で、資金繰りが悪くなってくると、初めはお金の貸し借りで対応しますが、日常的になると、現場ではどちらの会社の経費かわからなくなってしまい、仮払処理や経費として処理するようになってしまいます。

また、お金の貸し借りにしてしまうと、法人間の取引なので、税務上、金利のやり取りも発生してきます。

このあたりの事情もあり、仮払処理や経費処理になってしまう、あえてそのようにするという場合もあるようです。

 

このような状況が続くと、いずれ資金を融通していた会社も資金繰りが悪くなってきます。

すると、「資金調達を受けるための新会社を作ろう!」と短絡的に考える経営者の方もいらっしゃいますが、残念ながら債務超過状態はグループ会社全体で判断されます。

新会社への融資資金が、資金繰りが悪い別のグループ会社へ回されることを金融機関は懸念しているからです。

グループ会社で債務超過状態に陥っていないことを証明するために、多少手間はかかりますが、グループ会社全体の資産と負債、資本のストックである合算貸借対照表を作成するようにしましょう。

 

グループ会社間で経済合理性のない取引などおこなっていないか

一つめの「グループ会社全体で利益は出ているか」でも少し解説しましたが、日常的な商取引をおこなっている場合は、金融機関からすると、このあたりの判断は正直難しいところです。

グループ会社間での取引の利益率なんか、どうとも判断がつきませんよね。
なので、グループ会社全体での損益を把握しておく必要があるんです。

 

ただ、グループ会社を持つ経営者へ知っておいていただきたいのは、金融機関は税務署と違って、疑いを立証する必要はないんです。
単純に怪しいと思えば融資をしなければ良いからです。

バレたバレないが問題ではありません。相手に疑念を抱かせた時点で不利になったと考えてください。

疑念を抱かせないために、グループ間の取引関係図を用意し、積極的に融資担当者に説明をおこなうようにしましょう。

 

グループ会社間でのお金の貸し借りをしていないか

グループ会社への融資で、金融機関が最も嫌がる、警戒するのが資金使途についてです。

融資対象会社へ融資したはずが、別の資金繰りが悪いグループ会社にお金が流れたということを嫌がります。

また、グループ会社全体の合算貸借対照表を作成する際、ごまかし(お金を融通した会社の貸付金と融通を受けた会社の借入金を相殺)ても会社単体の決算書も同時に提出するはずですから、すぐにバレます。

すると、結果的に手間をかけて資料を作成したにもかかわらず、ごまかしたという事実が「他のところもごまかしているのでは?」と、疑念がさらに膨らむことになってしまいます。

この場合は、なるべくグループ会社間でのお金の貸し借りは清算しておいた方が良いでしょう。

難しい場合は、極力シンプルな貸借関係にしておくことと、合理的な貸借理由を説明できるようにしておきましょう。

 

まとめ

グループ会社が金融機関から融資を受ける場合のポイントを解説しました。

4つのポイントをまとめた資料としては、グループ会社全体を合算した貸借対照表、損益計算書、取引関係図が必要になってきます。

これを金融機関の融資担当者が、一つ一つの会社の決算書から細かな内容も分からずに作成することは大変でしょう。嫌がる仕事だというのも頷けます。

グループ会社の経営者の方や財務担当者は、融資担当者を手助けすることで、不利な扱いを受けていたかもしれない状態から抜け出せるかもしれません。

是非、これらの資料を作成を検討してみてはいかがでしょうか。

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