会計・経理

3つの財務諸表の基本的な読み取り方(貸借対照表編)

2019年12月2日

財務諸表とは、会社法や金融商品取引法などにより作成が義務付けられている書類で、「貸借対照表」「損益計算書」のほかに「キャッシュフロー計算書」の3つを「財務三表」といいます。

今回は、財務三表のなかでも「貸借対照表」について基本的な仕組みと読み取り方を解説していきます。

 

貸借対照表は、ある時点での会社の資産、負債、資本のストック状態を表したものをいいます。
後で説明しますが、資産合計は負債と資本の合計と一致する(バランスする)ので、バランスシート(Balance Sheet)やビーエス(B/S)と呼ばれます。

 

損益計算書は、一定期間の会社の収益と費用の状況を表したものをいいます。
英語での「Profit and Loss Statement」から、ピーエル(P/L)と呼ばれます。

 

読み取り方に入る前に、少しだけ仕組みを理解しておいてください。
この2つの財務諸表はバラバラなようで、実は連動しています。

ポイントは、貸借対照表が「ある時点」なのに対して、損益計算書は「一定期間」であること。


「ある時点」というのは、決算時点、決算期末です。時点、時点でのストック状態を表しているということは、言い方を変えると、ずっと更新し続ける必要があるということ。
その意味で、貸借対照表は創業からの積み重ね、歴史が読み取れることを意味します。

一方、「一定期間」というのは事業年度です。
これは貸借対照表と違って、事業年度ごとに一から計表するので、事業年度の儲けしか読み取ることができません。

図で表すと下記のとおりとなります。

創業時点での資産や負債などのストックに、事業年度の収益と費用を加えたものが決算時点のストックになります。

そして決算時点の翌日は次の事業年度の始まりですので、会社が生き続ける限り、貸借対照表と損益計算書はこのサイクルを続けることになります。

 

貸借対照表と損益計算書の仕組みが簡単に理解できたところで、貸借対照表の読み取り方の説明に入っていきます。

 

貸借対照表の読み取り方

貸借対照表は下記の図のような感じで、左側(借方)に資産、右側(貸方)に負債と資本が表記されます。

大まかにいうと、右側はお金の調達方法を、左側はその調達してきたお金を何に使っている(運用)かを表しています。

では、一つ一つ説明していきます。

 

流動資産と流動負債

流動性のある資産と負債が並び、一般的には、一年以内に現金化されるものや、一年以内に支払わないといけないものが並びます。

その他、営業取引で生じる資産や負債を記載するというルールもあります。

会社によって色々な資産科目や負債科目がありますが、一般的なものを抜粋して簡単に説明していきます。

 

現金・預金

会社、個人問わず営業取引においては最重要項目ですよね。

ほとんどの項目はここを通過します。

例えば、一年以内に返済するお金を借りた場合は、お金が増えると同時に同額の短期借入金が記載されますし、固定資産である機械を買った場合は、お金が減少して同額の機械が資産に記載されます。

 

受取手形と支払手形

最近では結構減りましたが、業歴を重ねた会社ほど利用しているのが、この手形。
例えば受取手形については、販売先からすぐに現金・預金ではもらえずに、〇ヶ月後に払いますという証文(手形)を受取った時に記載します。

支払手形はその逆になります。

〇ヶ月後という現金化されるまでの間、資金繰りに苦しむことになりますし、逆に支払手形を使っている場合は、資金繰りを楽にしてくれるものです。

会社によっては、6ヶ月先の受取手形を持っていることも珍しくないので、資金繰りをめちゃくちゃ苦しめます。

 

売掛金と買掛金

営業活動に関連する仕入や売上などの取引は、どうしても回数が多くなり、その都度の支払いは手間になることもあるため、月末などで区切ってまとめて請求するのが一般的です。これを掛取引といいます。

我々がコンビニやスーパーに行って掛取引でお願いしますと言っても受付けてくれないのと同じで、信用があってこそ成立する取引です。

例えば売掛金であれば、商品を納品して、請求書の発行と同時に売上を計上しますが、代金はもらえていないので、現金化されるまでの間、売掛金として記載します。

ちなみに、この売掛金が現金化されるまで、通常1~2ヶ月ですが、その時にお金ではなく、受取手形を受取ることもあります。
そうなると、現金化されるまで半年以上待つなんてこともあります。

 

固定資産と固定負債

会社で長期間に渡って使用するモノや返済期限が一年超の負債などを記載します。

有形固定資産と無形固定資産

営業活動をおこなうために使用する形ある資産(有形固定資産)と形のない資産(無形固定資産)は、一般的に短期間の利用ではなく、長期間使用をし続けます。

その意味で、ここに記載されるモノの特徴は、①営業に長期間使用、②時間の経過と共に価値が減少するといったことが挙げられます。

時間の経過と共に価値が減少するということは、その資産の使用期間に渡って費用を配分するということで、これを減価償却といいます。

したがって、貸借対照表に記載されている残高は、これから数年間に渡って費用になる金額といえます。

 

長期借入金

固定負債に区分される長期借入金は、上述のとおり返済期限が一年超のものです。

ただし、必ずしも全体が一年超の残高ではない場合もあります。
例えば600の残高のうち、「毎月返済分×12ヶ月」は一年以内に返済期限を迎えるもののはずです。
この場合、会計ルールでは「毎月返済分×12ヶ月」は流動負債区分の短期借入金か、一年以内返済長期借入金という科目で記載されます。

中小企業の場合は、株主や利害関係者などに報告することもないため、そのまま長期借入金で処理していることがほとんどですが、正しい会計ルールは上記のように区分を分けます。

 

資本

純資産の部と呼ばれます。

純資産とは、資産(2,000)から負債(1,300)を差し引いた部分がこれに当たります。

純資産の部は、2つの意味があります。

一つは、株主からお金を集めてきた「資本金」や「資本準備金」。もう一つは、会社自らで稼いだ利益である「利益剰余金」。

この二つを合わせて純資産の部を構成しています。

 

資本金と資本準備金

株式を発行して、株主からお金を集めてきたものが資本金になります。

一方、資本準備金はその株主から集めてきたお金で、資本金に組み入れなかったものをいいます。

会社法では、株主から集めてきたお金の全額を資本金とせず、半分だけ資本準備金にすることができると定められています。

なぜ、そんなことをするのかというと、赤字が累積した場合、資本準備金は取り崩して補填することができますが、資本金を減少しようとすると、株主総会の特別決議が必要になるなど、手続きが煩雑になるという違いがあるためです。(資本準備金の取り崩しも債権者保護手続きなどは必要)

 

いずれにしても、科目の違いはあっても株主から集めてきたお金であることに変わりはありません。

 

利益剰余金

利益剰余金は、損益計算書の最終値である、税引後利益のうち株主への配当などで外部へ流出せずに使わなかった、内部留保させる項目です。

利益剰余金の内訳で、「利益準備金」と「その他利益剰余金」がありますが、利益準備金は株主へ配当した際、将来の損失などに備えさせるもので、積立が会社法で義務化されています。その他利益剰余金は会社で任意に積立が認められています。

こちらも資本金と資本準備金の関係と同様に、科目の違いはあっても、会社が稼いだ利益が蓄積されたものに変わりはありません。

 

なお、理屈として「利益剰余金と同じだけ会社にお金が残っているのか」と質問を受けることがありますが、そういうことにはなりません。
それは利益の蓄積であるため、その利益であるお金は色々なものに形を変えているからです。

例えば、建物を買ったり、借入金を早期返済したりとお金の使い方は様々で、色々なものに姿形をかえているので、必ずしも「利益剰余金=現金・預金」とはなりません。

 

まとめ

冒頭で、左側と右側はバランスしているといいました。

このバランスは決して崩れることはありません。

それは、これまで見てきたように、右側がお金の調達方法を、左側がそのお金の運用を表しているからです。

 

今回は貸借対照表の基本的な仕組みや読み取り方の解説をしました。財務分析など発展的な読み取りをするのも、仕組みや基本がわかっていれば計算する指標の意味や、新たな疑問が出てきたりと、理解がより深まることでしょう。

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