友人同士やコンパで飲みに行ったりすると、一人や二人、会計の際、領収書を欲しがる方いませんか?
その際、こんな会話になったことありませんか?
じゃあ、ひとり6,000円。
いらんかったら、わたしが貰っといていい?
よくやっている方、いらっしゃるかと思います。
また、この場合、
ってなると、この女性の意図した領収書の効果はありません。
割り勘でもらった領収書だからこそ、節税脱税の効果があるんです。
みなさん気軽にやってるかもしれませんが、これって脱税です。
かといって、仕事上の付き合いで割り勘になる場合もあります。
この場合は、だれとどこでなにをしたといった内容をメモしておくことで経費にできます。
今回は、このあたりについてお話ししていきます。
割り勘でもらった領収書の行方
まず、この理由についてお話していきます。
割り勘で領収書を欲しがる理由
割り勘でもらった領収書の一部は、他人の領収書であるということ。
つまり、それを自分のものとして経費に落とすということを意味します。
領収書を欲しがる方というのは、色々な立場の方がいらっしゃるかと思います。
フリーランスや個人事業主、会社経営者、従業員それぞれの立場で、割り勘による領収書を欲しがる理由をみていきたいと思います。
フリーランスや個人事業主、会社経営者
割り勘でもらった領収書を欲しがる理由は、自分がお金を出したわけではない(一部だけ出した)にもかかわらず、経費に落とすことで、税金を減らすことができるからですね。
会計を勉強した方だったら、
って疑問があるかもしれませんが、フリーランスや個人事業主の方なら「事業主貸や事業主借」というものがありますし、会社経営者なら「役員借入金」があります。
あえて悪い表現をすると、うやむやにできる勘定科目でしょうか。
ですので、冒頭の女性がフリーランスや個人事業主であれば、このように仕訳すれば済むわけです。
仕訳例
交際費 18,000円/事業主借 18,000円
ほんとうは6,000円しか負担していないのに、18,000円を経費に落としているということです。
事業主貸や事業主借について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
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事業主貸と事業主借のちがい【意味と使い分け、税務調査の問題など】
くわしくは後述しますが、事業主貸(借)とは、事業とは関係ない「プライベート勘定」なので、個人事業主でしかでてきません。 翌期首に「あれ?消えた?」と思ってしまいますが、元入金という法人でいう資本金に吸 ...
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従業員
割り勘の領収書を欲しがるのは必ずしもフリーランスや個人事業主の方、会社経営者など、何かしらの事業を行っていて確定申告が必要になる方々だけではありません。
会社に雇用されている従業員の方であっても欲しがる方はいらっしゃいます。
なぜなのか。
友人との飲み会を取引先との会食と偽って、会社に経費精算をすることで、領収書がお金に変わるからですね。
こちらも犯罪行為ですよね。
割り勘でもらった領収書を経費に落とすと法律的にはどうなるのか
割り勘でもらった領収書を経費に落とすことについて、法律的には経費性の有無と、他人の財布から払った経費という二つの問題があると思います。
このような領収書を経費に落とすと、意図的に課税所得を圧縮し、税金の負担を免れているということになるので、脱税行為といえます。
経費性の有無について
みなさん経費、経費って言いますけど、ほんとうに経費の意味が分かっているのかな?と思うことが多々あります。
あたりまえですが、経費って売上を得るためにかかったお金ってことなんです。
ここ、わかっているのかいないのか線引きが曖昧な方、結構いらっしゃいます。
所得税法の必要経費を確認してみてください。(法人税法でも似たようなことが規定されています)
(前略)必要経費に算入すべき金額は、(中略)総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用
所得税法第37条 必要経費より
後述するように、割り勘でもらった領収書などでも、仕事上の飲み会であれば、自己負担分に限り経費に落とすことは出来ます。
ですが、冒頭のような友人同士での飲み会の費用は、そもそも経費にならないんです。
仕事の相談をしたり、それがお客さんの紹介につながったりします。
それでも経費にしてはダメなんでしょうか?
こう主張される方もいらっしゃるでしょう。
でも、これって「プライベートな飲み会での会話範囲」ですよね。(判例でもこのような見解です)
仕事の話をしたら経費になるんだったら、なんでもどこでもOKになってしまいます。
たとえば、友人から「○○って仕事できる?紹介してっていう人がいてるのねんけど、ちょっと相談にのってくれへんか?」という前提で飲みに行ったという場合は、経費にできると思います。(これでもダメって判断する方もいらっしゃいますが)
友人同士の集まりで仕事の話しをしたという理由では経費性がありません。
そして、真面目過ぎる方へ経費性についてちょっとした補足笑
経費性って、必ずしも売上につながっている必要はありません。(期待していても売上を得られなかったことも多いでしょうし)
ただし、事業に関連しているものでなければなりません。
他人の財布から払った経費について
これは論外ですよね。
経費性の問題は見解の相違といったことが起こり得ますが、他人の財布から払った経費というのは、そういった議論の余地がなく、不正ということになります。
経費性のある健全な割り勘の領収書を経費に落とすには?
ここからは、割り勘でもらった領収書のなかでも、事業関連性があり、自分で払った分の健全な領収書を経費に落とすお話です。
割り勘ってお店によっては領収書がもらえなかったり、または、セコイことするなよと思われそうでなんとなくもらいにくいという場合や、貰い忘れということもあろうかと思います。
そんな時はメモを活用しましょう。
事業に関連のある飲み会などであれば、スケジュール帳に予定が管理されているはず。
そこに、このような事項をメモしておきましょう。
メモ
- 店名
- 金額(全体の金額と割り勘で負担した金額)
- 内容(誰とどういった目的かなど)
- 領収書を貰えなかった理由
基本的に経費に落とすためには領収書が必要ですが、どうしてもという場合は、メモ書きでも経費に落とせます。
すべてがこのようなメモ書きをもとに経費に落としていては問題がありますが、やむを得ない場合はこれでもOKです。
その際、自分が負担した分だけ経費で落とすようにしましょう。
まとめ
割り勘でもらった領収書は、脱税だからということもありますが、自分のほんとうの業績が分からなくなるので、やめておいた方が良いのでは?と思っています。
割り勘でもらった領収書を経費に落とす方って、売上がすべてと思っているところもあるので、業績比較や分析云々はどうでも良い事なのかもしれませんが。
また、色々調べてみると、割り勘での飲み会で「領収書貰って良い?って人」や、「まとめて会計してくると言って、こそっと領収書をもらっている人」は結構嫌われているんですね笑
友人・知人に嫌われてまで領収書をもらって、脱税する。
たかが数千円、数万円の税金を削減するには大きすぎる代償ではないでしょうか。