銀行融資

新しく事業を開始するときに銀行融資は受けた方が良い2つの理由

2019年11月29日

銀行融資を受ける、受けない、受けたくないは、人それぞれの環境と考え方なので、それに対して、とやかく言うつもりはありません。

なので、以下の方々には響かない内容となっています笑

 

ポイント

  • 尽きることがない豊富な自己資金がある
  • たとえ自己資金が底をついても金融機関からは借りないと決めている
  • お金を借りてまで事業をしたくない

 

しかし、「とりあえず自己資金で事業を開始して、困った時に初めて銀行融資を検討したい」「タイミングはわからないが、いつか金融機関からの融資を利用したいと思っている」という方は新しく事業を開始する前に是非チェックしてみてください。

 

わたしは新しく事業を開始するとき、つまり創業と同時に銀行融資は受けた方が良いと考えています。

 

理由は2つあります。

一つは、新しく事業を開始するときが一番銀行からの融資が受けやすいタイミングであること。

もう一つは、新しく事業を開始する創業者が、良い意味で「資金調達力」の限界を知ることができること。

わたしが感じるのは、この2点です。

以下、この2つの理由について解説していきます。

 

創業から3年の企業生存率は3割程度!?

皆さんも街を歩いていたり、通勤や通学途中など、こんな経験ないでしょうか。

「あ、ここにこんな店ができたんや~」

「いつもあの店、人はいってないけど大丈夫なんかな」

「あれ、あの店、別の店に変わってる」

 

中小企業白書によれば、わが国の創業から3年後の企業生存率は88%となっていますが・・・これは言いすぎだと思います。

注書きを見ると、帝国データバンクの収録企業であるため、データベース収録されるまでに創業して廃業している場合は集計されていないことがわかります。

また、ここでいう倒産とは、おそらく解散、清算という正規の手続きをとった場合でしょうから、休眠している、放置しているなど実質的に倒産している企業は集計されていないと思います。

本当に高めに算出されているなぁという感じで、あまり参考になりません。

 

 

では、実際のところどうなのか。

都市伝説的になっているかもしれませんが、創業から3年以内に7割の会社が廃業するといわれます。

昔からいわれていることなので、信憑性に欠けますが、我々の業界でも経験上、何となく理解できます。
金融機関の方なら、我々以上に、経験しているはずなので、あながち嘘とも言い切れないのではないでしょうか。

 

結局のところ創業から3年以内に7割の会社が廃業するというのは、嘘か本当かはわかりませんが、少なくともここでは、金融機関は、経験や実績をベースにした企業生存率を把握していると理解して間違いないと思います。

 

新しく事業を開始するときが一番銀行からの融資が受けやすいタイミング

金融機関の立場で考えてみてください。
AさんとBさんのどちらにお金を貸しますか?

まずはAさん。

これから新しく事業を開始しようと考えています。

自己資金が○○万円で、事業計画では運転資金として○○万円必要になりますので、融資をお願いしたいと考えています。

これが事業計画書と資金繰り表です。

 

はい、続いてBさん。

 

自己資金で事業を始めて半年ですが、そろそろ資金が底をつきそうなので、運転資金として○○万円融資をお願いしたいと考えています。

これが試算表と資金繰り表です。

 

AさんとBさん、それぞれの状況はこんなところでしょうか。

Aさんはこれから事業を始めようとしているので、上記の企業生存率でいうと、まだどう転ぶかわからない状態で、事業計画書など準備する資料次第といえるでしょう。

一方、Bさんの状況は、自己資金で事業を開始しましたが、思ったように計画が進まないため、資金を必要としています。

 

簡単じゃないですか?

当然Aさんですよね。

Bさんは自己資金で事業を軌道に乗せる計画を立てて創業したので、資金不足に陥りそうになって初めて銀行融資を考えたのでしょう。

しかし、簡単に金融機関が、世間でいう、創業から3年以内に7割の会社が廃業するその7割に片足を突っ込んだBさんに簡単にお金を貸す理由はありません。

 

創業者は良い意味で「資金調達力」の限界を知ることが重要

資金調達力とは、資金調達可能な金額です。これを理解しておくことが重要です。

これはあくまで平均なので、創業者の経歴などで上下しますが、概ね自己資金の2倍程度が新しく事業を開始する方の資金調達力です。

じゃあ、単純に自己資金1,000万円用意できれば2,000万円借りられるのかというと、そうではありません。

創業から3年以内に7割の会社が廃業する論理が働くため、新しく事業を開始する方に多額の融資はおこないません。

これらのことを理解する上でも、新しく事業を開始するタイミングで銀行から融資を受けることをおすすめしています。

例えば、上記のBさんは自己資金が尽きた状態で初めて金融機関へ駆け込むので、いったいどれくらいの資金調達力があるのかわかっていません。多くの場合、自分の都合で物事を考えるので、資金調達力も見誤っていることでしょう。

一方、Aさんは一度経験しているので過度な期待はせず、二回目の金融機関にいきます。
しかし二回目の金融機関では返済実績があるという信頼関係が築けているので、一回目より知らず知らずのうちに資金調達力がついていることが実感できるでしょう。

 

まとめ

新しく事業を開始するときに銀行融資を受けた方が良い2つの理由について解説しました。

銀行からの融資を受けると借金が増えて嫌という方が多くいます。
しかし、借入と同時にお金が増えます。運転資金の場合は、家を買う、車を買うための借金とはわけが違います。

お金が増えずに借金だけ増えるのであれば、こんなことおすすめしません。

基本的には、借りたお金で借金を少しずつ返していき、その間は不測の事態に備えて資金をプールさせておきますので、利息だけがデメリットとなります。

「いやいや、借りたお金は食いつぶしてしまうよ」という方。

厳しいことをいうと、その場合、そもそもビジネスとしての見直しが必要ではないでしょうか。
それは経営の見直しが必要であって、借入の問題とは別です。

ビジネスとして成立していない会社に財務やら金融機関からの融資という考えを求めるのは間違いではないでしょうか。

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