経営指針

現実を受け入れた事業計画書を考える

2019年11月11日

事業計画書は創業時だけ、金融機関で資金調達をする時だけ必要なものではありません。

経営のことは毎日考えていても、実際に事業計画書まで落とし込んでいる経営者の方は少ないのではないでしょうか。

事業計画書を作成すること(早ければ作成段階で)で、その先の企業、経営者が解決すべき問題や取り組むべきこと、逆に全然できていなかったことなどが見えてくるはずです。

 

以前、担当していた資金繰りに苦しむお客様が、一緒に事業計画を考えたことで、「いま取り組むべきこと」が理解でき、業績が大幅に回復した事例がありました。
すごく感謝されましたが、決してわたしの手柄ではありません。事業計画書を作成する(考える)ことで頭の中が整理され、それに真剣に取り組んだ結果なんです。

事業計画書の作成は、経営課題の棚卸作業だと思っています。

面倒ですが、やれば本質(利益)が見えてきます。

 

ただ、偏に事業計画書といっても内容は企業によって様々です。
今回は事業計画書の種類を解説していきます。

 

事業計画書の種類

事業計画書は企業の状態をキチンと理解していないと、意味のあるものは作成できません。

経営課題がわかった上で作成できていれば問題ありませんが、経営課題がありながらも、見ないふりをして作り上げた事業計画書には意味がありません。

意味ある事業計画書の種類を確認していきます。

 

増収と増益を目指す事業計画書

増収増益を狙った事業計画書とは、売上と利益の両取りです。

売上を伸ばす計画は客観的に見ても実現可能でしょうか?

これまで出来たことがない、初めてやることに取り組むからという理由で安易に売上増加としていないでしょうか。
経営者なら売上増加による利益計上は一番困難な計画と分かっているはずです。

実行可能な行動計画に裏付けされた売上増加を計画しましょう。

 

減収だけど増益を目指す事業計画書

売上は諦めるが利益は獲得するという多少勇気のいる事業計画。

仕事、経営の見直しをしてみてください。

ある程度の企業規模になると、必ず一つや二つ時間や手間がかかり過ぎていて赤字にならないまでも、「合わない」仕事があるはずです。
付き合いでやらなければならないこともあるでしょうが、限度があります。

そういった仕事は社員もやりたがりません。モチベーションが下がります。

社員が退職する前に、最小限の損失で留めておく意味でも、「仕事を断る」勇気を持ちましょう。

当然、仕事を断れば売上は減るでしょう。

しかし、不思議と「合わない」仕事をしなくなるだけで業績(増益)が良くなることが結構多いです。

 

現状維持で増益を目指す事業計画書

無駄な経費を見直し、削減することで実現できるため、比較的取り組みやすい事業計画でしょう。

これもある程度の企業規模や社歴を重ねてくると、無駄なモノ、いまはあまり使っていないモノにお金を使っていることが結構あります。

小さなことからコツコツとじゃないですが、経費は定期的に見直しましょう。

 

減収と減益を目指す事業計画書

売上と利益の両方を諦める事業計画です。

お客様の事例を少しだけ。

長い間、右肩上がりで成長を続けてきたところ、ある労働問題をきっかけに、それが飛び火し、社内だけではなく、対外的にも対応を迫られた事業年度で作成した計画書がこれです。
この事業計画は当初から出来上がったものではなく、問題発覚後に急遽見直しし、ほぼ諦めに近い計画だったように思います。

しかし、結果的には減収になったものの、「合わない」仕事の断りやムダなお金の流れを断ち切ったことにより、増益になりました。

諦めが良い方向に作用してくれました。

 

このように成長を続けていたところに、蓄積していた企業の成長疲れが現れることがあります。その時はまず問題解決を優先事項として、思い切ってこのような事業計画を立てることも良いのではないでしょうか。

上記事例のように「思ったより・・・」という場合もあります。

 

ざっくりした事業計画書

新規事業の立ち上げや、数年後のための先行投資など将来が見えない、正直現時点で細かいことは分からないという場合の事業計画でしょう。

このような事業計画書に細かい数字を無理やり当てはめても意味がありません。

反対意見も多いでしょうが、わたしは、ある程度の予算、デッドラインを決めていれば、これはこれでOKだと思っています。

これも事業計画書の一つでしょう。

 

まとめ

事業計画書の種類は企業の成長ステージによって様々です。
今回例示した事業計画書には分類できないものも多くあるはずです。

事業計画書を真剣に作ることによって、色々なことが見えてくるはずです。大事なのはそこだと思っています。
作成段階で問題や課題を認識して、作成後、行動や実践をすることです。(事業計画に忠実過ぎる行動はキケンですが)

習慣化できるよう、手始めに作りやすい事業計画を立ててみましょう。

決して難しい増収増益の事業計画書を作ろうとしてはいけません。

面倒ですが、作成する価値は必ずあります!

-経営指針